堀江貴文の祖国

〜ライブドアの犯罪〜

Originally written: Jan. 23, 2006(mail版)■堀江の祖国〜週刊アカシックレコード060123■
Second update: Jan. 23, 2006(Web版)

■堀江の祖国〜週刊アカシックレコード060123■
小誌既報のとおり、自民党はライブドアの堀江貴文社長が法的トラブルを抱えていることを05年8月には知っていたので、彼を衆院選の党公認候補にしなかった。彼が司法を恐れて「差別」を言い訳に自殺しないことを望む。
■堀江貴文の祖国〜ライブドアの犯罪■

■堀江貴文の祖国〜ライブドアの犯罪■
【前々々々々々々々回「プロ野球の球団を増やす方法〜シリーズ『村上ファンドの阪神株』(3)」は → こちら
【前々々々々々々回「日韓野球格差〜半永久的に変わらぬ構図」は → こちら
【前々々々々々回「ブログの虚像〜格言『毎日書くのはただのバカ』は正しいか」は臨時増刊なのでWeb版はありませんが → こちらをご参照下さい。】
【前々々々々回「組分け抽選の『操作』を読む〜06年W杯サッカー本大会(抽選工作)」は → こちらをご参照下さい。】
【前々々々回「抽選方式の矛盾〜シリーズ『06年W杯サッカー本大会(抽選工作)』(2)」は → こちら
【前々々回「FIFAが冷遇する国〜シリーズ『06年W杯サッカー本大会(抽選工作)』(3)」は → こちら
【前々回「受賞御礼〜『メルマガ オブ ザ イヤー 2005』」は臨時増刊なのでWeb版はありません。】
【前回「差別と批判の違い〜日韓の『上限関係』を考える」は → こちら

筆者は小誌05年9月16日配信号(PC向けメルマガ)の「トップ下」のコラムでこう述べている:

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【ホリエモン支部長?】
05年9月11日の衆院選で落選したあとも、堀江貴文ライブドア社長は「次回も同じ(小)選挙区から立候補」と強調(読売新聞Web関西版「衆院選広島6区、堀江さん次に自信、『また出たい』」)。
自民党は衆議院小選挙区単位で支部を置き、日常活動と資金を管理します(中略)が、彼が立候補した広島6区は、自民党公認候補がおらず支部長が空席。彼が「次の衆院選も6区で」と言うのは、「広島6区支部長になりたい」つまり「自民党員になりたい」(権力に守られたい?)というのと同じこと(逆に、彼が「次も6区で」と言い続けないと、自民党はほかの候補者を支部長に立てる可能性が大)。
しかし(冤罪かもしれませんが)堀江社長周辺での法的トラブル発生を懸念する自民党は、彼を党員にするつもりはありません。だからこそ自民党は今回05年の衆院選で、彼を公認も推薦もしなかったのです(産経新聞Web版05年8月23日「武部幹事長 “劇薬”堀江氏の擁立 『話題性重視』批判も」 )(このため、司法当局が遠慮する理由はなくなりました)。

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このコラムを書いた当時自民党周辺から聞いたところでは、堀江には2つの問題がある、と党執行部は認識していた。
1つは「堀江流錬金術」、つまり無額面のライブドア株を株式分割(03〜04年の1年間で、10×100×10分割で通算1万分割)して株価(株式時価発行総額)をつり上げることの倫理的問題。もう1つは堀江と反社会的な組織(G)との付き合いだ。

しかし「無額面」も「1万分割」も合法であり、それ自体は犯罪ではない。司法当局が立件するには別の容疑が必要で、それが当時の筆者にはわからなかったので、上記コラムには「法的トラブル」としか書けなかった。

とはいえ、後者の問題は深刻だ。かつて『紅白歌合戦』の出場が決まっていた歌手が、そういう組織との交際を暴露されて出場を辞退した例があるほどで、それが暴露され、かつ、その時点で堀江が自民党員であった場合、彼に犯罪容疑がなくても自民党は大打撃を受ける。

堀江が出馬した選挙区の現職議員、亀井静香は、まだ自身が自民党員であった05年の衆議院解散前「小泉首相を自民党総裁の座からリコールする」と豪語していた(小誌05年9月8日「計画的解散〜シリーズ『9.11総選挙』(3)」、ロイター05年7月31日付「首相が解散決断すれば両院議員総会で総裁解任手続き」)。そういう「謀反人」の選挙区には自民党執行部は強力な(有名人の)「刺客」を送り込んで制裁しなければならない。謀叛の「首魁」を野放しにすれば党の士気にかかわるから、武部勤自民党幹事長は、息子の友人である堀江が出馬を申し出たとき、すぐにその擁立を決めた。

が、自民党には警察官僚と親しい議員が複数おり、堀江の情報は豊富にはいってくる。堀江の「トラブル」を危惧する自民党幹部が警告したため、結局党執行部は堀江を衆院選候補者として公認も推薦もしなかった。ただ「亀井に刺客を放った」という姿勢は見せたかったので、堀江の出馬記者会見を自民党本部で開かせたのだ。したがって、この段階ですでに、堀江に司直の手がはいることは自民党にとっては「想定の範囲内」だった。

もちろん堀江にとっても想定内だ。司法当局が動く前から堀江は自身の逮捕を心配し、自民党員になることを求め、権力の庇護を求めたのだ。

ライブドアへの東京地検特捜部の強制捜査が始まった05年1月16日以降の、堀江のblog『社長日記』への一般読者の投稿を読むと、99%が激励だ。堀江の支持者はずっと支持し続けるつもりなのだろうが、堀江本人はこの激励がいつ罵声に変わるかと怯えているはずだ。

かつて大衆を魅了する天才だったヒトラーは、その人気(と権力)が消滅する前に自殺した。堀江もそうする可能性がある。そこで今回は彼の自殺を防ぐため、非常手段として、証拠を提示せずに以下の問題を取り上げる。

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●堀江の国籍●
某週刊誌は凶悪事件の犯人が外国人であった場合、その国籍を強調して報道し、特定の国民、民族への偏見を助長する傾向があるが、それは差別だ。前回述べたように筆者は差別は嫌いなので、そういう報道姿勢には反対する。

だから今後、万一堀江の民族問題が検察リーク情報や流言飛語として、虚実取り混ぜ取り沙汰されても、それは問題視すべきでない、と筆者は考える。ライブドアに対する強制捜査の容疑事実はいまのところ、純粋な国内問題である。たとえ今後、堀江の共犯者や資金源、あるいは親しい「反社会的組織」(G)の構成員に外国籍の者がいたと判明しても、犯行現場が国内である限り、本件は国際問題ではない。

堀江は05年の衆院選に公職選挙法をクリアして出馬したことで明らかなように、日本国籍を持っている。彼はよくも悪くは日本社会の一員であり、本件は国内の刑事事件にすぎない。

但し、05年に堀江が行ったニッポン放送株買収によるフジサンケイグループ(FCG)への乗っ取り計画に国際的な背後関係があった場合は、話は別だ。堀江はFCG傘下の出版社、扶桑社が発行する歴史教科書について批判的な見解を表明しているが(『AERA』05年2月21日号 p.20「堀江フジサンケイ支配」)、堀江が外国勢力の指示や支援を得て、日本の報道や教育に干渉しようとしたのなら、それが判明した瞬間から本件は国際問題になる。たとえ扶桑社発行の歴史教科書の内容が不適切なものであったとしても、その是非は日本国民が主体的に判断すべきであり、外国勢力が「売国奴」を雇ってスパイ工作を仕掛けて発行や普及を妨害することなど許されない。そういう事実が判明した場合は、扶桑社の歴史教科書を批判して来た朝日新聞といえども、堀江を非難するであろう。

たしかに日本の刑法には「売国罪」という罪はない。しかし、報道や教育を「外国に売る」のはにんげんのクズのすることであって、それを行った者が社会的生命を断たれるのは当然だ。「移民の国」「自由の国」である米国でさえ、マスメディア経営者には米国籍の取得を義務付けており、豪メディア王のルパート・マードックも、米国でFOXテレビを経営するために米国籍を取得している。

とはいえ、現時点で「売国」の証拠は挙がっていない。だから、本件は民族問題でも国際問題でもない。たとえ堀江個人の民族問題が取り沙汰されても、それだけでは国内問題の域を出ないのである。もちろん、国家やそれに準じる公的機関が関与し、国民大衆の広範な世論が不正を後押しした、02年W杯サッカーにおける韓国の不正な勝利(小誌02年6月13日の予測記事「●いまこそ『奥の手』を〜審判に『期待』」)や、今後小誌で取り上げる予定の、ソウル大学の「ES細胞捏造事件」のような、正真正銘の「国家犯罪」とも、本件は(いまのところ)性格が異なっている。

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●被害者ヅラ●
しかし、堀江自身が(虚実取り混ぜ)ほのめかす可能性がある。
堀江が「私は民族差別の被害者だ」などと日本社会を恨む遺書を書いて自殺し、自身の犯罪を正当化する可能性である。

筆者は堀江には生きていてもらいたいので、彼がこういう言い訳をして「被害者ヅラ」で自殺することを封じるため、以下の記事を「公開質問状」として記しておく。堀江が05年2月頃小誌を読んでいたことはわかっているが、現在読んでいるかどうかは定かでないので、関係者の方々には小誌の内容を堀江本人にお伝え下さるようお願いする。

ご本人に聞きたい、「貴殿は社会的に差別されたことがありますか」と。

問題はあくまで本人への差別だ。親や親戚は関係ない。なぜなら上記の如くご本人は日本国籍を持っているからだ。日本国籍さえあれば、祖先の民族にかかわらず、国会議員になることも、超一流企業に就職(したあと大勢の財界人を味方にして独立開業)することも可能であることは、堀江一族にはよく知られているはずだ。だからこそ貴殿も05年の衆院選に立候補したのではなかったか。

自分自身がまったく差別されていないのに、親や親戚が差別されたことを理由に日本社会への「復讐」を正当化した例が政界にある。かつて自民党の大幹部だった「日系日本人」のXは、終戦直後に共産主義者として非合法活動に関与した過去を隠蔽するために、「私は家系を理由に差別された」とウソをつき、自分の属する「コミュニティ」の組織力をバックに日本政界を恫喝し、権力を握った(小誌03年4月28日「『被差別』の虚像〜シリーズ『元共産党員の超大物』(2)」)。

貴殿が同じテを使うことは許さない。
もしかすると貴殿は日本人女性にフラれたことがあるかもしれない。が、現代の日本は女性の晩婚化・非婚化の進んだ「結婚難」の時代にあり、「民族」を理由に恋愛や結婚が破綻することなど、まずありえない。たとえあったとしても、日系日本人の男だって失恋することはあるのだから、それ自体は個人的な問題であって「社会的差別」ではない(貴殿の場合はむしろ「ブ男差別」を受ける可能性のほうが高かろう)。

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●国家の生存権●
唯一「情状酌量の余地」がありうるのは、貴殿が学生時代に就職活動をしていて、かつ、公安情報(か国籍問題)を理由に一流企業への就職を阻止された場合だ。

欧州諸国の国境線は戦争によって何度も変わっているので、たとえばドイツ-チェコの国境地帯にはドイツ人だかチェコ人だかわからない、つまり、いつでも売国奴になりうる「スパイ予備軍」が大勢いる。そういう連中が国防上重要な技術を持つ一流企業(やそれと取り引きのある銀行など)に就職し要職に就くのは危険である。冷戦時代、もしそのようなことを西ドイツ社会が許していれば、西ドイツの技術情報が東側に流出して国防が危機に瀕し、90年に東ドイツが消滅するより先に西ドイツが消滅した可能性さえある。

まともな国なら「消滅しない権利」はある。だから、西ドイツのエスタブリッシュメント(支配層)は、ごく少数の名門の家系に属する者以外は一流企業の要職には就けない、という「差別社会」(一種の貴族制度)を作った。これは冷戦終了後のいまでも続いている。ドイツはかつて、外国(オーストリア)出身の政治家(ヒトラー)を差別せずに国家の中枢に迎え入れた結果、国家に破滅的な事態を招いたため、それに懲りて、21世紀になってもロシアなど外国からのスパイ工作を警戒して「差別社会」を維持しているのだ。

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【西欧諸国では、例の世界最古の「秘密結社」はいまも厳然と存在し、エスタブリッシュメントが売国奴を社会的に濾過するフィルターとして機能している。ヒトラーはこのフィルターにはじかれた(差別された?)ので、ドイツ社会に「復讐」するために独裁者になり、欧州各地でこの結社を弾圧した。逆に、日本でも有名なフランスの某財界人は、非西洋圏の非白人であるにもかかわらず、このフィルターを通して人品骨柄を高く評価され、名前も西洋風に「創氏改名」したので、フランスの一流企業に就職しトップになることができた。】

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日本の場合は、公安警察が全国の大学で過激派などの活動をチェックし、その情報を一流企業に流している(らしい)。また、テロ支援国家や独裁国家、日本への敵対(反日)を国是にしている国の国籍を持つ者も、どんなに高い学歴があっても(大手マスコミを含む)一流企業に(幹部候補生として)は就職できない。

これは単なる差別ではない。安全保障だ。
まともな国家なら、国防産業や報道機関を外国の干渉から守る権利がある。そして日本やドイツのような民主主義国家では、エスタブリッシュメントの家系が愛国心をもって政官財界の枢要な地位を占め、国家体制の中枢を守っているからこそ、国境の内側で「反体制派や売国奴が国家を罵る自由」を含む広範な人権が保障されているのだ。売国奴や外国勢力が国家の中枢を乗っ取った場合は、民主主義国家の人権保障制度は崩壊し、たとえば「日本が日本でなくなってしまう」恐れがある。そんなことを許す義務は国家にはない。

親が外国人でも、本人が本人の代で帰化した場合、その扱いは微妙だ。が、少なくとも学生時代に「自衛隊を潰せ」などと罵る勢力(外国政府の関連団体や国内の左翼・過激派)に共鳴して一緒に罵っ(て優越感に浸るという利益を得)た者が、東芝や丸紅などの「自衛隊御用達企業」やそれに融資している旧興銀などの大銀行(要するに、日本の超一流企業の大半)に就職できない(図々しくもう1つの利益を得ることができない)のは当然であり、「差別」されたとしても同情する必要はない。

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●コスモポリタンの甘え●
被害者ほど素敵な商売はない。被害者と名乗れば、だれでも世論の同情を買い、自分の言い分を報道してもらうことができる。だから、第二次大戦で日本の侵略の「被害」を受けたと称して「被害者稼業」に励む国家や個人があとを絶たないのだ。

が、貴殿は差別の被害者ではない。もし差別されたと言うのなら、具体的な例を挙げてほしい。それができないなら、自殺したって世論は同情なんかしないぞ。

たとえ貴殿が学生時代に就職活動をして「安全保障上の差別」を受けていたとしても、それは日本やドイツのような技術先進国では必要悪とも言えるものだ(韓国のサムスン電子が東芝の日本人技術者を大量に引き抜いた例があるが、これは、日本より技術力の劣る国が日本の技術を盗むためにとった措置であって、けっして「韓国の一流企業が外国人を差別しなかった善良な事例」ではない。05年12月25日放送のNHKスペシャル『日本の群像(8)』)。

貴殿には日本の社会に復讐する権利はない。もちろん日本の法律を破る権利もない。だから、被害者ヅラして遺書を書いてもだれも同情しない。

朝日新聞記者の萩谷順は、1月16日以降の強制捜査を「日本のエスタブリッシュメント、既成の支配層が、ライブドア(のやり方)は許さんぞ、という厳しい姿勢を示したもの」と洞察した(06年1月21日放送のテレビ朝日『やじうまプラス』)。
さすがは朝日新聞、よくわかってらっしゃる。

貴殿は「カネさえあればなんでも買える」という自身の言葉について「カネは家系や民族で人を差別しない」という意味だと海外メディアに出演して解説している(05年11月5日放送のCNNj『Talk Asia』)。
これは「カネは堀江貴文(ブ男)を差別しない」と言い換えるべきだ。

また貴殿は「私は(典型的な日本人と違って)日本を客観的に見ることができる」と述べている(前掲『Talk Asia』)。
生意気なことを言うな。貴殿は自分が差別されたことがあるかどうか、客観的に判断できるのか。差別とひがみの区別ができるのか。自分がエスタブリッシュメントだったら外国のスパイを防ぐために何をするか、考えたことがあるのか。

さらに貴殿は「私はコスモポリタン(世界市民)」とも語っている(前掲『Talk Asia』)。
甘ったれるな。だれのお陰できょうまで言論の自由や営業の自由を享受できたと思ってるんだ。「世界市民」ではなく、日本のエスタブリッシュメントが、日本の官僚機構や警察や自衛隊やマスコミを駆使して日本の国家体制を守って来たお陰ではないか。

ご貴殿も最後にはそのエスタブリッシュメントの庇護にすがろうとしたではないか。そんな者には、エスタブリッシュメントが国を守るためにすることを、批判する資格はない。

「私には民族問題などない」とおっしゃるなら、それで結構。小誌もこれ以上追及はしないし、差別やプライバシーの侵害をするつもりもない。

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次回は本件の続報か「ES細胞捏造事件」の予定。】

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【この問題については次回以降も随時(しばしばメルマガ版の「トップ下」のコラムでも)扱う予定です(トップ下のコラムはWeb版には掲載しません)。
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 (敬称略)

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