他者を排除する限連鎖講

逆ネズミ講

〜シリーズ「究極の解決策」(5)〜

Originally written: Feb. 05, 2009(mail版)■逆ネズミ講〜週刊アカシックレコード090205■
Second update: Feb. 05, 2009(Web版)

■逆ネズミ講〜週刊アカシックレコード090205■
「資本主義は約70年で破綻する『ネズミ講』である」という説が正しい場合、約70年経っても戦争などでリセットしなければ、ネズミ講は逆回転し、次第に参加者を減らしながら最後まで残る者だけが儲かる「逆ネズミ講」になる。
■逆ネズミ講〜シリーズ「究極の解決策」(5)■

■逆ネズミ講〜シリーズ「究極の解決策」(5)■
【小誌2007年4月14日「国連事務総長の謎〜シリーズ『中朝開戦』(4)」は → こちら
【小誌2007年7月3日「『ニセ遺骨』鑑定はニセ?〜シリーズ『日本人拉致被害者情報の隠蔽』(2)」は → こちら
【小誌2007年10月22日「軽蔑しても同盟〜シリーズ『中朝開戦』(11)」は → こちら
【小誌2008年3月6日「中朝山岳国境〜シリーズ『中朝開戦』(13)」は → こちら
【小誌2008年9月8日「福田退陣の謎〜東京地検 vs. 公明党〜福田首相退陣は政界大再編の前兆」は → こちら
【小誌2008年10月1日「公明党の謀叛!?〜連立政権の組み替え?〜『中朝戦争賛成派』が小池百合子新党に集結!?」は → こちら
【小誌2008年11月27日「究極の解決策〜勝手にドル防衛?」は → こちら
【小誌2008年12月1日「人権帝国主義〜シリーズ『究極の解決策』(2)」は → こちら
【小誌2008年12月4日「イラク戦争は成功〜シリーズ『究極の解決策』(3)」は → こちら
【前回「70年周期説〜シリーズ『究極の解決策』(4)」は → こちら

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「資本主義は約70年で破綻する『ネズミ講』である」という説が正しい場合、約70年経っても戦争などでリセットしなければ、ネズミ講は逆回転し、次第に参加者を減らしながら最後まで残る者だけが儲かる「逆ネズミ講」になる。

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●リセットしない場合●
前回「資本主義は元々60〜70年で破綻する『ネズミ講』であり、60〜70年毎に革命か戦争でリセットする必要がある」という説を信じている者が、日米の政財官界の有力者のなかにかなりいるという事実を指摘し、米国政府が2008年9月以降の金融危機による大不況を克服するため、戦争という手段を使う可能性が高いことを述べた(が、米国自身が戦争をするとは言わなかった)。

ならば、もしこのまま世界中で平和が続き、米国の景気回復につながるような大規模な戦争が起きなかったら、どうなるのか。

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●逆回転●
これについて、前回紹介した永田町・霞が関のインサイダー「D」に先日(2009年1月上旬)聞いたところ、「従来型の参加者数を増やすネズミ講が破綻したら、こんどは逆に参加者数を減らすネズミ講に移るんだろうな」という答えが返って来た。

この「参加者数を減らすネズミ講」(以下、「逆ネズミ講」)とはなんだろう。

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【Dに限らず永田町、霞が関の権力者は忙しいし、いつも高度な専門知識を持つ者とばかり話しているので、具体例などを挙げて丁寧に説明してくれないことが多い。このときもそうだった。だから、ここから先は筆者独自の解釈である。】

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1840〜1842年のアヘン戦争でリセットされて始まった「資本主義2.0」が、1914年からの第一次大戦、1917年のロシア革命を経て第二次大戦によってリセットされ「資本主義3.0」になったと前回述べたが、この「3.0」は現代人にとってもっとも身近で理解しやすい。そこで、今回はまず、おもにこの「3.0」の期間中を例にとって「ネズミ講」としての資本主義を概観してみたい。

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●正ネズミ講●
そもそもネズミ講というものは、相対的に早く参加した者は儲かるが、遅く参加した者はあまり儲からない(遅く参加すればするほど利益が少ないか、または、損失が大きくなる)というシステムである。

18世紀後半に英国で始まった産業革命によって資本主義は本格的に始まった。約70年後の1840年、英国はアヘン戦争を起こし中国を徹底的に破壊することでこの「資本主義1.0」をリセットし、次の「2.0」の70年間においても「早い者勝ち」の優位を保った。

そのまた約70年後、英国は自国を戦場としない第一次大戦を契機に「2.0」をリセットしようとしたが、それでは、あとから資本主義に参加した米国が英国に勝てない。
そこで、米国は陰謀をめぐらした…………かどうかはわからないが、第一次大戦のあとも、1917年のロシア革命、1929年の米国発の世界大恐慌、さらに1939年、ドイツのポーランド侵攻に始まる第二次大戦、といささか過剰とも思えるリセットにつながる大イベントが相次ぎ、英国、ドイツ、日本など、米国のライバルとなりうる工業国の工業生産力が破壊され、かつ、ロシアの生産力と市場がロシア革命によって社会主義化されて資本主義世界から切り離され、米国の農産物や工業製品はロシアからの輸出品と競争する必要がなくなった。

このため、第二次大戦後、1945年に始まる「資本主義3.0」の世界では、その生産力を戦災によって破壊されなかった唯一の先進国である米国が、「一番手」として資本主義に参加し、「早い者勝ち」の恩恵を十分に享受した。したがって当然、1945年から2008年までの63年間、米国の国内総生産(GDP)は常に、あとから資本主義化した他の諸国より大きかった。

この「早い者勝ち」の法則はかなり広汎に妥当する。「3.0」の63年間に限って、国全体あるいは国民1人当たりのGDPで見る限り、米国は常に、1950年の朝鮮戦争特需を契機に資本主義に再参加した日本より豊かであり、日本は常に、1980年代の改革開放政策によって資本主義的市場経済を導入した中国より豊かであり、中国は総じて、1991年のソ連崩壊後まで経済に市場原理を導入しなかったモンゴルより豊かである。

国家が資本主義に参加するには、そのための法律や司法機関、教育制度などの社会システムが整っている必要があるが、英国、ドイツなどの西欧諸国や日本は第二次大戦で一時的に生産力を破壊されたとはいっても、法律や教育制度まで破壊されたわけではないので、戦後すぐに、米国に次ぐ「二番手」として資本主義に参加することができた。

このため、リセット前、「資本主義2.0」の段階で「先進国」だった米国や西欧諸国や日本は「3.0」の時代になってもそのまま先進国であり続けた。その後、「後発」の韓国、中国、インド、ブラジルなどの新興国が、先進国のまねをして、法律や教育制度を整備して資本主義に参加し、製造業を発達させて経済の高度成長を実現したため、先進諸国は相対的に国際社会における発言力を低下させはしたが、依然として新興諸国は先進諸国に追い付き追い越すことができない(あと20年も経てば追い付く可能性がないとは言えないが、どうせその前に60〜70年周期の「リセット」が来るので、結局間に合わない)。

これは資本主義市場における個人の投資についても同様である。
たとえば、ライブドアのような新興企業が株式を発行して投資を募る場合を考えてみる。市場にいる投資家は、新興企業の発足当初は、それが将来安定した企業、「優良銘柄」に成長するかどうかわからないので、たとえ新興企業の株式が公開されてもそう簡単にはそれを買おうとはしない。

しかし、その新興企業が成長して行くと、早い段階から運良くその株式を入手していた者は、株式から得る配当だけでなく、株式自体の値上がりによって大きな利益を得る。いちばん大きな利益を得るのは、その新興企業の株主の「一番手」である創業者や、創業当時の出資者、創業当時のからの古参経営陣であり、次に大きな利益を得るのは、その新興企業が十分に成長する前に株式を買った「二番手」グループであり、これにはしばしばその企業の社員が含まれる。

そして、その新興企業が十分に有名になったあと、「遅れを取るまい」としてその新興企業の株式を買った連中、いちばん遅い株主がいちばん利益が少ないか、または損をする。それは、ライブドアの株式でいちばん儲けたのが(同社の前身のオン・ザ・エッヂの)創業者の堀江貴文元社長(ホリエモン)であり、いちばん損したのが、堀江が2004年に頻繁にTV出演するようになって有名人になったあとに同社の株を買っ(て、2006年に堀江が粉飾決算容疑で逮捕されるまでその株を持ってい)た個人投資家であることを見れば、明らかだ(小誌2006年1月23日「堀江貴文の祖国〜ライブドアの犯罪」)。

ライブドアの株を遅く買った個人投資家と同じ失敗を、新興諸国もしたのである。
第二次大戦後、世界には資本主義と社会主義という2つの「銘柄」が存在したが、どっちが優良銘柄になるかについて、人類全体の統一見解は存在しなかった。が、米国、日本、英国、西ドイツなどの指導層は資本主義を「成長株」と判断していちはやくそれに飛び付いた。
第二次大戦の終結直前、1945年8月6日、日本政府は、原爆を落とされても降伏しなかったくせに、8月8日に社会主義国家ソ連が対日参戦(満州への侵攻)を宣言すると態度を変え、結局、ソ連が日本本土に侵攻する前の8月15日にポツダム宣言を受諾して、事実上米国のみに降伏してその占領下にはいっている。この史実から見て、当時の日本の指導層が資本主義こそ成長株と判断し、社会主義国の占領下にはいることを避けたのは間違いあるまい。

韓国も第二次大戦後すぐにこの成長株を買いたかったが、手元(法律や教育制度や資金)が不用意だったので、韓国が資本主義という銘柄に本格的に投資するのは、日本よりだいぶ遅くなり、1970年代になった。このときの遅れは取り返しの付かないものであり、それがもたらした日韓の経済格差はいまだに縮まっていない。

中国(中華人民共和国)、インド、モンゴルなどの指導層は、第二次大戦が終結した時点では、社会主義のほうが優良銘柄だろうと判断してしまったため、韓国より遅く1980年代、1990年代になってから、ようやく資本主義(あるいは資本主義的市場原理を導入した社会主義経済)というネズミ講に本格的に参入した。しかし、この頃はもう次のリセットまで長くて20年前後という、切羽詰った時期であり、そんな遅い段階で会員になったところで、ホリエモンの逮捕直前にライブドア株を買った個人投資家と同じような運命が待っているだけだ。

一般に、ネズミ講では、確実に大儲けできるのは常に一番手と二番手だけであり、彼らが損するときはいちばん遅く入会した会員はもっと損をする。この構図は資本主義(市場原理)というネズミ講においても変わらない。

ライブドア株の「一番手」「二番手」の株主たちは、(愚かな?)個人投資家が同社株の「遅い買い手」となって、株価を吊り上げてくれたことで大きな利益を得た。
「資本主義3.0」の一番手、二番手である日米や西欧の先進諸国は、韓国や中国、インドなどの新興諸国がこのネズミ講の「遅い会員」になってくれたことに乗じて、新興諸国を投資先、貿易相手として利用することで、多大な利益を得た。が、新興諸国自身は相対的に先進諸国より少ない利益しか得られず、概してその生活水準が先進諸国を追い越すことはない。

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●逆ネズミ講●
では、逆ネズミ講とはなんだろう。
ネズミ講とは参加者を増やしながら、早く参加した者が儲け続けるシステムであるから、逆ネズミ講とは参加者を追い出すことにほかなるまい。

前回述べたように、第二次大戦の際、ドイツが英国とソ連を破壊したあと、米国がドイツと日本を破壊したため、これら5大工業国のうち4つが(一時的に)工業力を失い、工業を中心とする文明世界から排除された。第二次大戦直後の資本主義世界で唯一の先進工業国となった米国は、資本主義銘柄の「配当」を数年間独占し、超大国に成長した。
これは極めて短期間にドラスティックに行われた逆ネズミ講の例と言えなくもないが、米国は第二次大戦後すぐに日本と西欧の旧先進諸国に対して戦後復興援助という名の投資を行ったため、すぐにネズミ講は正常な方向に巻き戻ってしまった。

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●新興国を排除?●
そこで考えられるのは、資本主義という銘柄の「配当」を受け取る国の数を減らす方法だ。
たとえば、日本は少子高齢化で人口構造が逆ピラミッド型になりつつあり、年金制度は崩壊の危機に瀕しているため、内需は伸びようがない。日本経済が外需(輸出)依存型の体質から脱却できない理由は、農業やサービス産業の生産性が低くこれらの職場で働く者の所得が少ないことや、大手製造業が輸出で多大な利益を上げてもなかなか従業員の賃金を上げないこともあるが、米国と違って国内の総人口、とくに若年人口が減少しつつあることが最大の要因だ。
2008年9月の米リーマン・ブラザーズ証券(投資銀行)の破綻をきっかけにした金融危機で諸外国が不況に陥ると、輸出に依存していた日本の製造業は一気に苦境に陥った。

そこで日本の人口構造をピラミッド型に戻すために、外国から若者を「輸入」したらどうか、という考えが出て来るのは時間の問題だろう。幸いに、日本周辺の諸外国には、アニメやマンガなどの日本文化を通じて日本に憧れている若者が大勢いる。これらの国の若者に日本に移住してもらって「日本人になってもらう」のである。つまり、彼らを労働力ではなく、国民として考えるのだ。

この「移民政策」による人口構造の逆ピラミッド化防止策は、米国、オーストラリア(豪州)など伝統的に移民立国であった国ではいまも実行されており、米国の人口が先進諸国のなかで唯一増え続けているのは、おもにこのためだ。

しかし、そうはいっても、韓国も台湾もいまや生活水準が日本に近づき、その結果として、日本と同様に人口構造の「少子高齢化」が進行しているし、中国は1980年代に始まった人口増加抑制策としての「1人っ子政策」のため、日本よりはるかに貧しいのに、すでに高齢化が始まっている。そんな国々の若者を日本などに移民させてしまったら、送り出す側の国が年寄りばかりになってしまって困るだろう…………などということをまったく考えないのがネズミ講である。
つまり、韓国、中国などの新興諸国を、資本主義世界の繁栄の枠組みから排除し、彼らが若年人口を減らし超高齢化して衰退して行くのを座視するのだ。これがまさに「逆ネズミ講」である。 _ いまのところ、この考えは、日本の支配層の頭の中にはない。現在の日本、とくに永田町・霞が関を支配しているのは、60歳以上の世代だからである。
彼らは第二次大戦の敗戦もしくは敗戦後の貧しい時代の日本で生まれ、思春期には「戦勝国」である米国(の白人)に対する劣等感を感じながら育ったため、その劣等感を処理するために、黒人、韓国・朝鮮人、あるいは外国人全般を見下したり排除したりする傾向が強い。
彼らはおおやけの席では「日本は朝鮮半島を植民地支配した過去の歴史を反省すべきだ」などと言いながら、裏へまわると、自分の娘や孫に向かって「頼むから朝鮮人とは結婚しないでくれ」などと言うことが多い。
しばしば彼らは「外国人が大相撲の横綱になるのはおかしい」とか「最近の大相撲は日本人力士が優勝しないからつまらない」などと愚痴るし、少なくとも2008年の前半までは「黒人が米国の大統領になるはずがない」などと言い張っていた。

筆者はこの世代よりだいぶ若いので、米国(の白人)に対する劣等感がほとんどない。だから、なんで「朝鮮人と結婚してはいけない」のかわからないし、なんで「外国人が横綱になってはいけない」のか、なんで「黒人が大統領になるはずがない」のか、さっぱりわからない。理由があったら教えてほしい(米TVドラマ『24』を見慣れている者には、黒人の米国大統領など、べつに珍しくもなんともない)。

上記のDも60代だ。この世代が永田町・霞が関を牛耳っている間は、韓国は安心していい。
しかし、「日本でいくら『韓流ブーム』が盛り上がって韓国に観光旅行に行く者が増えても、韓国に移住して韓国人になりたいなどと言う日本人は1人もいないのに、他方、少しでも日本のよさを知った韓国人の若者はぞくぞくと日本にやって来て日本に住み着き、あるいは、日本人になろうとする」という厳然たる事実がある。
韓国政府が四六時中、報道や教育を通じて第二次大戦までの日本による植民地支配の問題を持ち出して国内の反日感情を煽るのは、そうでもしないと、韓国の若者が残らず日本人になってしまう、という恐怖心があるからであって、べつに日本の過去の植民地支配が邪悪だったからではない(したがって、過去の問題で日本が韓国に謝罪することは、まったく意味がない)。

1990年代以降、日本の少子高齢化で学生不足に陥ることを懸念し始めた日本の私立大学は、諸外国から留学生を集めて不足する学生を補おうと考え、立命館アジア太平洋大学など、留学生受け入れや国際交流を主たる目的とする分校、学部、学科や、留学生受け入れ機関などを次々に新設した。

これを見て韓国の支配層は震え上がったに違いない。手をこまねいていれば、韓国の大学入試に落ちた韓国の18歳の若者はみんな日本の大学に行ってしまうかもしれないからだ。
韓国の大学入試制度では、受験生は一生に1回、ただ1つの大学の、ただ1つの学部(学科)しか受験できず、「浪人」も「すべり止め」も認められていない。このため、韓国の高校3年生が日本の大学事情を知れば、韓国の大学受験に失敗したあと、日本への留学を考えるだろう。彼らが18歳か19歳で日本に行って、そこで2〜4年暮らすとなると、日本で日本人と恋愛して結婚してしまう可能性が高い。そうなったら、彼らはもう韓国には帰って来ない。そして、そういう者が大勢出てくれば、韓国は滅びるのである(小誌2007年4月23日「●在日と韓国の終焉」)。

以後、韓国は狂ったように大学を造りまくる。1980年代まで30%前後だった韓国の大学進学率は、21世紀初頭には80%を超え、日本(49%)よりも米国(63%)よりも高くなったが、これは韓国の教育水準の高さを意味しない(朝鮮日報日本語版2004年8月31日付「大学の実態と国の将来」)。ただ、韓国の若者の潜在的な日本移住願望の強さを物語るだけである。

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【上記の進学率は大学と短大を合計した進学率である。経済協力開発機構(OECD)の手法に倣って大学型高等教育(学部または大学院修士課程を含み、短大レベルを含まない)に初めて進学した者の各年齢層別総人口に占める割合を全年齢層にわたって算出して合計した値で比較すると、1位は豪州(82%)であり、以下、ニュージーランド(79%)、ポーランド(76%)、スウェーデン(76%)、ノルウェー(76%)、アイスランド(74%)、フィンランド(73%)、ハンガリー(68%)、米国(64%)と続き、韓国(51%)は14位、日本(41%)は19位。G7先進諸国のうち、ベスト10にはいっているのは、米国だけで、フランスはベスト25にもはいっていない。このようにG7の大学進学率は低いが、他方、オセアニア、北欧、東欧の進学率は高い(経済協力開発機構『図表でみる教育 OECDインディケータ 2007年版』 p.296)。】

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【なぜ、オセアニアや北欧、東欧など、世界経済のメインストリートを歩いていない「田舎者」の国の大学進学率が、米日仏などの先進国のそれより高いのかというと、前者は後者に比べて国そのものに魅力と自信が欠けているからである。
たとえば、フィンランドなど北欧諸国の若者は、もしも「国内ではなかなか大学にはいれない」となると、フランスや米国の大学に行ってしまう。そして、18歳かそこらの若者がそういう国に行けば、やはり「向こうで恋愛して結婚してそれっきり帰って来ない」恐れがある。フィンランドが教育熱心な理由は、韓国と同じである。】

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けっして、先進諸国は新興諸国の若者を自国に「強制連行」する必要はない。放っておいても、彼らは先進諸国にやって来る。現にいまだって、韓国の若者は合法あるいは非合法の就労者として毎日大勢日本に移住して来ているし、第二次大戦前に日本に移住した韓国(朝鮮)人の大半も、実は進学や就職のために、同じく合法あるいは非合法の手段で来日した人々の子孫であって、べつに「強制連行」などされていない(小誌2008年7月28日「●世界一だらしない支配階級」)。

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【アメリカとイスラム諸国、イギリスとインド、日本と韓国(朝鮮)の関係を見ると明らかだが、にんげんは貧しい国から豊かな国へ、植民地から宗主国へ、仕事を求めてごく自然に移住する。移住先で差別されるとわかっていても、差別のない貧困よりも差別のある豊かさを選ぶ(来るなと言っても来る)。にんげんとはそういうものだ(小誌2003年3月27日「在米イスラム人口の急増〜イラク戦争の深層」)。】

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日本などの先進諸国には、政策としての強制連行は必要ないが、移民促進策は必要である。日本でも、Dの世代が引退したら、次の世代がそれをやるだろう。それで、韓国は資本主義の豊かな世界から排除され、ただの「観光地」になる。先進諸国は新興諸国を次々の犠牲にすることによって、自国の人口構造の逆ピラミッド化傾向を緩和し、この問題を暫時先送りすることができる。

このような逆ネズミ講を、先進諸国が政策として(公然とではないが、ひそかに)採用する可能性は十分にある。たとえば、フランスの場合、学位授与資格を持つ大学はすべて国立大学で、学費はほとんど無料になっているが(ドイツやフランスに留学すると、学費は米国に留学した場合の数十分の1で済む。ポット出版Web 2005年3月26日『及川健二のパリ修行日記』「フランス大学は学費が安い」)、これは事実上の移民促進政策(北欧諸国などからの若者横取り政策)になっており、だからこそ北欧諸国はそれに対抗するための施策が必要であり、その結果として北欧諸国の大学進学率は異様に高いのである。

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●究極でない解決策●
しかし、これは厳密に言うと、逆ネズミ講ではない。国単位では「会員を減らすネズミ講」になってはいるが、国内を見ると、移民の若者(とその子供)を人口ピラミッドの礎石にし「遅い会員」にして会員数を増やす「ネズミ講」だからだ。
しかも、新興国の数にも若年人口にも限りがあるので、永遠に続けられる政策ではない。若者を奪われそうな側の新興諸国だって、現に韓国が大学進学率を上げたように、必死に抵抗するだろうから、その意味でも、効果は限定的である。

この程度の中途半端な政策で先進国が末永く先進国であり続けられるかというと、かなり疑問である。

やはり前回紹介した中朝戦争、印パ戦争、中東大戦争などの戦争を起こして新興諸国の工業生産力を破壊する「リセット」のほうが確実だろう。
中国とインドが戦禍に見舞われれば、中印両国のみならず、その周辺諸国も不安定化し、その結果、中印両国のみならず、たとえば韓国などからも若者が大挙して逃げ出し、先進諸国に移住することが予想されるので、本格的に正ネズミ講をリセットする意味でも、国単位の逆ネズミ講をテスト的に実施する意味でも、戦争というものが先進諸国政府の政策の(秘密の)選択肢から消えることはあるまい。

筆者は年末年始(2009年元日前後)に麻生太郎首相の側近と話したが、そのときの感触では、安倍晋三元首相を始めとする自民党内の「中朝戦争反対派」は、「隠れ親中国派」の安倍晋三自身を除いてほとんど「中朝戦争賛成派」に転向したようなので、いま、麻生政権が倒れる前に中朝戦争が始まれば、日本政府としては大歓迎だろう。

ただ、中朝戦争勃発後に大挙して日本に移住して来た若者たちがすぐに就職できるような、十分な職があるかどうか、という別の問題がある。中国やインドの賃金の安さをあて込んで両国に工場進出した先進諸国の企業は、たとえ中印両国が不安定化しても、すぐには本国に帰らず、ベトナムなど、ほかに賃金の安い国をみつけてそこに生産拠点を移すことが考えられる。そうなると、先進諸国に移住した若者たちには十分な職はなく、リセット後の正ネズミ講はそう簡単には始まらない。

正ネズミ講が十分に機能しない場合は、逆ネズミ講が始まってしまう。逆ネズミ講には、国単位で参加者(国)の数を減らす形だけでなく、一国内、一業界内で「配当」を得られる者の数を次第に減らしてゆく形もある。

後者はけっして、2008年秋以降に日本の大手企業が次々に行った、派遣社員など非正規労働者の大量解雇、いわゆる「派遣切り」や「雇い止め」のことではない。

「派遣切り」や「雇い止め」は景気変動によって起きる一時的な現象だから、景気がよくなれば解決される問題だ。が、この「業界内ネズミ講」は文明論的な社会構造の変化に根差す問題であって、解決策はない。

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この、極めて深刻なタイプの逆ネズミ講については、次回以降機会を見て紹介したい。

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次回以降も、このテーマを、経済学的、地政学的見地から掘り下げ、米国の覇権が終わらないこと、および、中国が絶対に覇権国家になれないことを、引き続き証明して行く予定。】

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