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本能寺の日食

本能寺の変における「偶然」

〜シリーズ「“いくさ”の歴史」(1)〜

Originally written: June 01, 2020(web版)
Second update: June 01, 2020(mail版)(本能寺の日食:週刊アカシックレコード200601)
Third update: June 02, 2020(web版)
Fourth update: June 03, 2020(web版)
Fifth update: June 05, 2020(web版)
Sixth update: June 13, 2020(web版)
Seventh update: June 14, 2020(web版)
Eighth update: June 15, 2020(web版)
Ninth update: June 19, 2020(web版)

【小誌2009年8月13日「ウィキノミクスの虚構〜シリーズ『失業革命』(5)」は → こちら
【小誌2009年8月27日「寄生虫の論理〜ネット『無料』文化の罪〜シリーズ『失業革命』(6)」は → こちら
【小誌2012年3月26日「反日感情の正体〜韓国=アルジェリア方程式〜シリーズ『反態度的行動』(1)」は → こちら
【小誌2014年6月9日「北朝鮮崩壊神話〜『北朝鮮崩壊』という神話〜シリーズ『米中朝のX DAY』(18)」は → こちら
【前回、小誌2020年5月1日「冬ではなく夏〜シリーズ『米中朝のX DAY』(75)」は → こちら

■本能寺の変における「偶然」〜シリーズ「“いくさ”の歴史」(1)■
国内外のジャーナリスト、政治学者、歴史学者、歴史作家らの言動を見聞きしてわかることは、世界には「軍事情報管理」(安全保障上の秘密保持)という視点を持った人がほとんどいない、ということである。
たとえば、日本では、政府は特定秘密保護法に基づいて安全保障上重要な情報を特定秘密情報(国家機密)に指定し、それについて、国家安全保障会議(日本版NSC)4大臣会合などの場で政治家と官僚が話し合うが、NSCでは、法律上、閣議と違って議事録を残さなくてよいことになっている。
このため、NSC終了後に政府高官が記者会見に臨み、さっきのNSCの議題は何かと訊かれても、その答えとしてほんとうのことを言うとは限らず、秘密保持のために(真の議題を隠すために)ウソをついている可能性があるのだ。
つまり、安全保障上の秘密保持には、秘密情報についてただ黙っていることだけではなく、ウソをつくことも含まれるのだ。
天正10年(1582)6月2日に起きた「本能寺の変」直前の時点において、明智家という独立性の高い軍事力を持った戦国大名(一種の主権国家)にとって、絶対に保持すべき秘密情報(国家機密)は「主君の織田信長に対する謀反(むほん)の計画」である。
この秘密を保持するため、明智光秀は、信長や当時の一般庶民、さらには味方である自身の支配下の武士までをもだますため、さまざまなウソをついている。
前々回、本能寺の変の当日、信長と信長の嫡男、信忠が少ない手勢しか連れずに“偶然”同時に京都におり、光秀が2人をほぼ同時に討ち取ることができたのは、光秀にとっては幸運だったという趣旨のことを述べた。
しかし、光秀が本能寺の変直前についたウソを仔細に検討すると、信長と信忠が同時に京都にいたのは偶然ではなく、光秀自身が信長に対して巧妙なウソをついて導き出した“必然”であったことがわかる(2020年6月1日頃配信予定)。
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東日本大震災、熊本地震、北海道胆振(いぶり)東部地震の被災者の方々には衷心よりお見舞いを申し上げます。

なぜ信長と信忠は天正10年(1582)6月1日に少数の手勢しか連れずに同時に京都にいたのか。

考えてみて下さい。

当時の暦『具注暦』(天正十年)(国立公文書館蔵)の一部分
「六月大[の月]」の文字のすぐ左「一日丁亥土執」の右下の不鮮明な字から下が
「虧初[きしょ]午七刻六分半 加持[食甚]未五刻七二分 復末[復円]申四刻五五分半」と読める。
上欄外のいちばん上の2文字は「日蝕」。その下は「大分[食分]十五分之十二分半弱」。

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天正10年(1582)5〜6月の「信長/家康動静」

5月上旬頃  信長が利三に切腹を申し付けたが、側近の猪子高
      就の説得で処分保留(桐野, 2007b, pp.185-187)。
5月11日   信長の三男信孝、長曾我部氏討伐のため大坂に着陣(明智, 2019p, p.334)。
5月15日   家康・梅雪一行、安土に到着(明智, 2019k, pp.231)。
5月17日   光秀、家康の饗応役をはずれ、中国地方で毛利氏
      と戦っている羽柴秀吉の援軍に行くためとして、
      近江国(現滋賀県)の坂本城に帰る(明智, 2019p, p.335)。
5月19日   家康、梅雪ら、安土城内の総見寺で舞と能を鑑賞(『信長公記』)。
5月20日   家康、梅雪ら、安土城内の高雲寺御殿で饗応される(『信長公記』)。
      信長、家康・梅雪一行に京都、堺へも行くように提案。
5月21日   信忠の案内で、家康、梅雪らが安土を発ち、上洛(明智, 2019p, p.335)。
5月26日   光秀は出陣の支度を整えて坂本城を発し、亀山城
      に入る(桐野, 2007b, pp.204-205)。
5月27日   信長、利三への切腹命令を正式に書状で撤回(桐野, 2007b, pp.185-187)。
      信忠、信長が上洛する予定を初めて知り、家康・
      梅雪一行とともに堺へ行く予定を変更し、信長を
      出迎えに京都に向かう(明智, 2019p, p.335)。
5月28日   光秀、福屋隆兼宛ての手紙を山田喜兵衛に書かせ
      る(桐野, 2007b, pp.207-210)。
5月末日(29日) 信長、小姓20〜30人とともに安土城を発ち、上洛し、本能寺に宿泊。
      家康・梅雪一行、堺に到着(明智, 2019p, p.335)。
6月1日   昼、信長、朝廷から公家40名を招いて茶会を行う(明智, 2019p, p.336)。
      夜、信忠が本能寺を訪れて信長に会い、妙覚寺に宿泊。
      この日、家康は堺で豪商から茶を振る舞われる(明智, 2019p, p.336)。
      家康は京都の豪商、茶屋四郎次郎を京都に先発さ
      せる(明智, 2019p, p.336)。
6月2日   朝、光秀が大軍で本能寺を包囲攻撃し、信長が自害。
      朝、光秀は大軍で二条御所の信忠も攻め、信忠も自害。
      朝、家康一行、堺を発ち、伊賀越えに出発。
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引用文献

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明智憲三郎 (2019k). 「徳川家康の企て」, 『完全版 本能寺の変 431年目の真実』, 河出書房新社 pp.231-265.

明智憲三郎 (2019L). 「羽柴秀吉の企て」, 『完全版 本能寺の変 431年目の真実』, 河出書房新社 pp.266-293.

明智憲三郎 (2019m). 「祈願『時は今あめが下なる五月かな』」, 『完全版 本能寺の変 431年目の真実』, 河出書房新社 pp.297-313.

明智憲三郎 (2019n). 「祈願『国々は猶のどかなるとき』」, 『完全版 本能寺の変 431年目の真実』, 河出書房新社 pp.314-328.

明智憲三郎 (2019p). 「巻末史料」, 『完全版 本能寺の変 431年目の真実』, 河出書房新社 pp.333-343.

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Frois, Luis (1582松田毅一・川崎桃太訳2000). "Historia de Japan" In Wicki, Jose (Ed.) 5 vols. Biblioteca Nacional de Lisboa, 1976-1984 [フロイス,L., 松田毅一・川崎桃太(訳) (2000). 「第五六章(第二部四一章)」, 『完訳フロイス日本史3 織田信長篇III 安土城と本能寺の変』, 中央公論新社, pp.143-152]

半沢尚久 (2020). 「露軍の電子・サイバー戦の一体的展開が判明 無線遮断し偽メールで誘導、火力制圧」, ITmedia ビジネスオンライン 2020年5月11日 https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2005/11/news061.html (2020年6月5日アクセス)

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時事 (2020a). 「首相動静 (5月12日)」, 時事通信 2020年5月12日 https://www.jiji.com/jc/v2?id=ssds202005_20 (2020年5月12日アクセス)【NSC局長と5分。公邸泊】

時事 (2020b). 「首相動静 (5月16日)」, 時事通信 2020年5月16日 https://www.jiji.com/jc/article?k=2020051600248&g=pol (2020年5月16日アクセス)

時事 (2020c). 「首相動静 (5月20日)」, 時事通信 2020年5月20日 https://www.jiji.com/jc/article?k=2020052000258&g=pol (2020年5月20日アクセス)【官邸で午前から午後にかけて4時間35分の空白。NSC局長、統幕長らと23分。NSC局長と6分。私邸泊】

時事 (2020d). 「首相動静 (5月21日)」, 時事通信 2020年5月21日 https://www.jiji.com/jc/article?k=2020052100259&g=pol (2020年5月21日アクセス)

時事 (2020e). 「首相動静 (6月9日)」, 時事通信 2020年6月9日 https://www.jiji.com/jc/article?k=2020060900211&g=pol (2020年6月9日アクセス)【NSC局長と7分。夕方に官邸で43分の空白(議事録の残らない「閣議後の雑談」に代わるものと推定)。私邸泊】

時事 (2020f). 「首相動静 (6月10日)」, 時事通信 2020年6月10日 https://www.jiji.com/jc/article?k=2020061000272&g=pol (2020年6月11日アクセス)【夕方に官邸で7分の空白。私邸泊】

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時事 (2020h). 「首相動静 (6月12日)」, 時事通信 2020年6月12日 https://www.jiji.com/jc/article?k=2020061200272&g=pol (2020年6月12日アクセス)【閣議16分(作戦計画書に署名か)。NSC局長、統幕長らと26分。夕方に官邸で45分、49分の空白(前者は防衛相、厚労相らと、後者は全閣僚と脱出作戦を議論か)。私邸泊】

海谷道隆 (2020a). 「『WHO 中国が支配』 脱退手続きは触れず トランプ氏」, 読売新聞 2020年5月31日付朝刊2面

海谷道隆 (2020b). 「トランプ氏 『中国包囲網』 サミット枠組み拡大 G7内で慎重論必至」, 読売新聞 2020年6月1日付朝刊2面

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田村 雄 (2020a). 「露 改憲へ準備加速 全国投票 来月24日案 コロナ禍 電子投票可能に 軍事パレードと同日」, 読売新聞 2020年5月27日付朝刊7面

田村 雄 (2020b). 「露の改憲全国投票 7月1日」, 読売新聞 2020年6月2日付朝刊5面

田村 雄 (2020c). 「露、愛国心高め改憲投票 来月1日 対独戦勝式典後狙い」, 読売新聞 2020年6月3日付朝刊5面

谷崎純太・伊藤 崇 (2020). 「見る 欠ける太陽 全国でショー 6月21日 各地で見える日食」, 読売新聞 2020年6月1日付朝刊23面

横堀裕也・広瀬 誠 (2020). 「G7米開催 日英仏独 出席前向き」, 読売新聞 2020年5月27日付朝刊2面

読売 (2020). 「安倍首相の一日 21日」, 読売新聞 2020年5月22日付朝刊2面 【】

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 (敬称略)

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