堀江貴文に似た例

〜シリーズ「堀江の祖国」(2)〜

Originally written: Feb. 06, 2006(mail版)■堀江に似た例〜週刊アカシックレコード060206■
Second update: Feb. 06, 2006(Web版)

■堀江に似た例〜週刊アカシックレコード060206■
今回は、前回の記事「堀江の祖国」を書いた背景、とくに堀江貴文ライブドア前社長の学歴「東大中退」の意味について。
■堀江貴文に似た例〜シリーズ「堀江の祖国」(2)■

■堀江貴文に似た例〜シリーズ「堀江の祖国」(2)■
【前々々々々々々々回「日韓野球格差〜半永久的に変わらぬ構図」は → こちら
【前々々々々々々回「ブログの虚像〜格言『毎日書くのはただのバカ』は正しいか」は臨時増刊なのでWeb版はありませんが → こちらをご参照下さい。】
【前々々々々々回「組分け抽選の『操作』を読む〜06年W杯サッカー本大会(抽選工作)」は → こちらをご参照下さい。】
【前々々々々回「抽選方式の矛盾〜シリーズ『06年W杯サッカー本大会(抽選工作)』(2)」は → こちら
【前々々々回「FIFAが冷遇する国〜シリーズ『06年W杯サッカー本大会(抽選工作)』(3)」は → こちら
【前々々回「受賞御礼〜『メルマガ オブ ザ イヤー 2005』」は臨時増刊なのでWeb版はありません。】
【前々回「差別と批判の違い〜日韓の『上下関係』を考える」は → こちら
【前回「堀江貴文の祖国〜ライブドアの犯罪」は → こちら

前回、ライブドアの堀江貴文前社長が、証券取引法違反事件で逮捕される前に受けていた海外メディアとのインタビューを紹介した(06年1月21日再放送のCNNj『Talk Asia』)。それを聴くと、以下に紹介する、深刻な国籍(民族)問題を抱える持つ人物との共通点が多々連想される。

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●超少数派の悲劇●
筆者の古い知人にPという者がいる。筆者は当初Pの学歴は「某一流大学卒業」だと思っていたが、あるとき本人との会話で「卒業」ではなく「中退」だとわかった。意外だったので、どうして卒業しなかったのか、と聞こうとしたが、聞くより先にPは、まるで暗記していたセリフを話すように、立て板に水を流すようにある理由を説明した。

この不自然な「説明」は、筆者に疑問を抱かせることとなった。そう言えば、それ以前にも不自然なことがあった、と思い出されたからである。たとえば、日本代表がスポーツの国際試合を戦った翌日、Pを含む友人たち数人で会って、前夜TV中継で見たその試合について話した際、筆者が「あそこで(日本が)1点取られたのが痛かったよなあ」などと話すとほぼ全員が肯定的な反応を示す中、Pだけがなぜか表情をこわばらせて黙っている、というようなことがときどきあったのだ。

Pの「こわばった表情」は一度や二度ではなかったし、また、そういう表情のほかにも、筆者のような「日系日本人」なら示さないような反応を示すのを何度か見た………これらをすべて正確に思い出した結果、筆者にはわかった、「Pは(少なくとも大学在学中までは)日本国籍を持っていなかったのだ」ということが。

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【この結論を導いた「証拠」を詳細に書いたほうが、読者の皆様にわかりやすいのは言うまでもない。が、詳細に書くと「Pがだれであるか」がPと親しかった者にはわかってしまう。Pは筆者とよく会っていた当時、自分の国籍問題についてカミングアウト(公表)していなかったし、会わなくなって久しい現在もそうしているかどうかは不明だ。国籍問題の公表はPが自分の意志で決めるべきことなので、筆者はPのプライバシーを尊重するため、Pの学歴・経歴の詳細を書くことを控える。御了承頂きたい。】

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さて、大半の大学生は在学中、学生生活の後半になると就職活動を行うから、PもPの同級生たちも某一流大学在学中にそうしたはずだ。だれだって、就職するなら、できればいわゆる超一流企業にはいりたいから、彼らもそういう努力をしただろう。が、その結果、Pの同級生たちが次々に超一流企業への就職内定を獲得する中、Pだけが就職先が決まらない、という事態が発生したのだ。

前回述べたように、国家には安全保障上、その国家の中枢、政官財界の要職に迎え入れる人材を選ぶ権利がある。米国では憲法上、生まれたときから米国籍を持っていた米国民でないと大統領になれないし、メキシコの場合は親の代から両親ともにメキシコ生まれのメキシコ国民でないと大統領になれない(朝日新聞88年7月5日付朝刊4面「メキシコ大統領選」)。 ドイツには(ドイツ国籍を持っていても、国境地帯や旧外国領の出身で、親戚が外国に大勢いる、などの理由で)いつ外国の手先になるかわからない「スパイ予備軍」を国家の中枢から排除するために、一流企業の高級幹部になれる人材を、特定の名門家系(先祖代々の愛国者)に限る、という事実上の貴族制度(差別社会)がある。 フランスにも英国にもほぼドイツと同様の実態があるし、とくに英国の場合は正真正銘の貴族制度もある。また米国では、たとえ民間の仕事であっても、マスコミ経営者など特定の職業に就く者には法律で米国籍取得を義務付け、「差別」を合法化している。

したがって日本でも当然、防衛庁と取り引きしている東芝や丸紅のような一流企業や、それに融資する旧興銀のような一流銀行、つまり日本の超一流企業の大半では、外国のスパイによる国防政策への干渉を防ぐため、日本国籍のない者を(幹部候補生として)就職させることは(事実上)ない。また、外国による日本へのスパイ工作が発覚した際に、マスコミがその事件報道に手心を加えるようなことがあると、安全保障に関する世論が正しく形成されない恐れがあるので、大手マスコミ企業も、日本国籍のない者の採用には慎重である。

これは差別ではない。安全保障だ。米国やメキシコの場合、国籍を取ってその国に忠誠を誓った者をなおも「スパイ予備軍」と疑って大統領職から排除する、という憲法上の差別規定が存在するが、日本の場合、国籍さえ取ってしまえば、そのような差別はない。つまり、憲法上、人権上、日本のほうが移民に寛大なのだが、やはり国籍が「大前提」である点はどこの国も同じだ。

しかし、なぜかこの現実を知らない在日外国人が多い。このため(日本風の通称を名乗る)在日外国人の親が「日本は学歴社会だから、一流大学にはいってしまえば国籍なんか関係ないはずだ」と誤解して、わが子にせっせと勉強をさせて一流大学に入学させてしまうケースが毎年必ず数人ないし数十人ある。そしてこの「超少数派」が就職活動の段階になって初めて、国籍問題に直面するのだ。

そういう学生は、同級生たちが就職するような一流企業への就職に失敗したとき、同時に「同級生に対してカミングアウトするか否か」という、より深刻な問題にも直面する。しかし、「外国(反日国家)の国籍を持っているとわかったら、人間関係が変わってしまうかもしれない」と恐れるなら、残された道はほとんど1つしかない。それは、「一流企業に就職しようとしてできなかった」という事実を隠蔽するため「元々就職する気がなかった」と見せかけること、つまり、大学を卒業しないことなのだ。

この悲劇は、あまり有名でない大学に通う、日本風の通称を名乗る(カミングアウトしていない)在日外国人には起きない。なぜなら、そういう学生の場合は、たとえ一流企業に就職できなくても「この程度の学歴じゃあ一流企業にはいれないのは当然か」と周囲が(本人も?)納得してしまうので、べつに隠蔽などする必要がないからだ。日本風の通称を持つ在日外国人の数は少ないし、そのなかで一流大学にはいる者の数はさらに少ないため、この悲劇は、日系日本人の社会には長い間その存在すら知られることがなかったし、いまも筆者以外には知られていない。

Pは自分の母校も学問も嫌いではなかった。だから、卒業したかったはずだ。卒業式にも出たかっただろう。
この悲劇は22歳前後の子供が経験するにはあまりにも残酷だ。筆者はPの悲劇に気付いたとき「惻隠の情」を抱いた。もちろん日系日本人である筆者にはその悲劇を体感することは不可能なので、「惻隠の情」などと思うことは僭越かもしれないが、とにかくPのことはいまも忘れていない。

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●国籍取得後の差別●
98年、日本に帰化した元在日韓国人(16歳で帰化)の新井将敬衆議院議員(当時)が日興証券から不正な利益供与を受けた容疑で逮捕される直前、自殺した(朝日新聞98年2月20日付朝刊38面「『光と影』抱え続け、カネにこだわる一面も 新井将敬代議士自殺」)。新井の母親は息子の自殺直後、自宅を取り囲むマスコミに「あんたら(日本社会は)人殺しや。(不正は)みんなやってることなのに、あの子だけやり玉にあげて」と号泣した(『韓国の声』37号98年4月23日「新井将敬代議士の孤独な自死」)。筆者はこのニュースを聞いたとき、これをPが聞いたらどう思うだろう、と心配になった。「日本国籍取得後もなお差別がある」という新井の遺族の言葉を聞けば、Pに限らず多くの在日外国人が日本への帰化を躊躇するのではないか、と思われたのだ。

ところが、杞憂であった。その後有名な在日韓国人が日本の国会議員になったからだ。
韓国の新聞・朝鮮日報の元日本支社長で、たびたびTV出演もしていた「在日の星」白眞勲(はくしんくん)は、03年に日本に帰化したあと、04年参院選で民主党から立候補して当選したのだ(白眞勲Web 「経歴」)。

民主党にはこのほかに、蓮舫(台湾)、ツルネン・マルテイ(フィンランド)といった、明白に帰化したことがわかる元外国人国会議員が2人もいる。彼らによって、「日本では国籍を取りさえすれば差別がない」と在日外国人社会に広く知られていることが判明した(つまり「新井が自殺したのは、差別されていたからではなく、不正をしたからだ」と、少なくとも帰化する前の白眞勲には思われていたのだ)。

上記のように、日本には憲法上、米国やメキシコと違って、国籍取得後の差別を定めた規定がないので、白眞勲も蓮舫もツルネンも、国会の首班指名選挙で多数の票を獲得すれば、最高権力者(首相)になれるのだ。

ここまで外国人に対して開放的な制度を採用しているのだから、そしてそれが白眞勲らの国会議員当選によって(元)在日外国人たちに広く知れ渡ったのだから、もはや日本国の側には「Pの悲劇」を防ぐために譲歩すべき点はあまり多くないはずだ。

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●帰化妨害●
問題はむしろ、一部の在日外国人社会が、国家安全保障上の「常識」を在日同胞に知らせていないことにある。
考えてもみよ、「日本人が中国に留学して一流大学を優秀な成績で卒業したからといって、それで中国の国営放送や国防産業に幹部(候補生)として就職できるだろうか」と。そんなことは、留学生はもちろん、れっきとした中国国籍を持つウイグル人やモンゴル人でもありえない。これらの少数民族は、国境地帯に国境をまたぐ形で分布しており、いつ「外国の手先」になるかわからないので、中国政府は外国のスパイ工作を警戒し、少数民族を国家の中枢に迎え入れることはない(中国の国家中枢の要職は、共産党幹部の子弟によって占められることが多く、その意味で中国にも「事実上の貴族制度」がある)。

知らなかった場合は仕方がない。が、現実を知っていてなお、わが子に「勉強して東大にはいれ。但し日本国籍は取るな」などと言う在日外国人の親がいるとしたら、それは教育熱心でも民族主義でもない。ただのいやがらせだ。「精神的な児童虐待」と呼んでもいい。

日本で生まれ、日本語を話し、日本の最高学府で学んで日本国家の中枢で働きたいのに日本国籍は取らない、というのは、異常に不自然な発想であり、そんな、スパイ予備軍でなければ言わないような、外国人のわがままに付き合う義務は日本国にはない。現在(または将来)日本の大学に通う在日外国人の子供のが日本国籍を持っていないことにさまざまな理由があるとしても、そんなことはどうでもいい。これは(親ではなく)子供の人権の問題だ。親には子供の人権を奪う権利はない。「在日同胞」の大人たちが子供の日本国籍取得に反対して「帰化妨害」をするのなら、それこそが最大の人権侵害であり、日本社会はその撲滅に全力を尽くすべきだ。

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【永住資格を持つ在日韓国・朝鮮人は01年現在約53万人、つまり日本の総人口の0.5%もいない(毎年約1万人ずつ減少中なので06年現在は40数万。国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成14年1月推計)」表10-2 在留資格(2区分)国籍別登録外国人数:1986,2001年)。この「非婚化・晩婚化」の進んだ現代日本で彼らが結婚しようとすると、相手は90%以上の確率で日本人になり、したがって夫婦間にできた子供は(85年施行の父母両系主義の国籍法のもとでは、よほど親の性格がひねくれていない限り)日本国籍になる。「在日同胞」同士の結婚は事実上不可能なので、あと何十年か経てば「在日社会」は自動的に消滅するはずだ。どうせ消滅するものならば、早めに帰化して何が悪い。「消滅」の運命を知ってなお、無意味に帰化を遅らせて差別されたがる連中の気が知れない。国籍のある者とない者を完全に平等に扱う国家は世界中に1つもないのだから。】

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実は、北朝鮮政府は「Pの悲劇」が繰り返されることを願っている、つまりいやがらせをしているのだ。
理由は、日本の先端技術情報を収集し分析するための情報機関「在日本朝鮮人科学技術協会」(科協)に、東大などで学んだ優秀な人材を集めたいからだ。一流大学の理工系の在日韓国・朝鮮人学生(外国籍)は日本の一流企業に就職できないので、日本でその学歴を活かす道は(大学に残る以外は)この科協への就職ぐらいしかない。しかし、科協は朝鮮総連の傘下にあり、その幹部が自衛隊の技術情報を盗むなど、れっきとしたスパイ工作を営む諜報機関である(産経新聞99年4月27日付朝刊1面「《危機の予兆》金正日将軍の対日工作(7)なぞの組織『科協』」、読売新聞Web版06年1月24日「防衛庁のミサイル研究データ、総連系企業(科協幹部の経営する企業)に流出」)。
就職活動の失敗で傷付いた若者の心に付け込んで日本への敵意を増幅させ、スパイ工作に駆り立てるとは、北朝鮮とは、なんと汚い国であろうか。

在日韓国・朝鮮人の教育ママたちが安全保障上の常識を知らずに「日本は学歴社会だから国籍なんかなくたって…」と誤解している原因は、たぶんここにある。

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●東大中退●
堀江は一流大学(東大)に入学したが、卒業も就職もしなかった。筆者は彼のプライバシーを侵害したくないので、彼に民族問題があるかどうか、証拠や情報源を示して「証明」するつもりはない。本人が否定するなら、それで結構だ。

が、彼の捜査・弁護関係者には、ぜひこの記事を、東京拘置所内の彼に届けて頂きたい。彼がこれを読めば、そう低くない確率で、彼の人生観は一変するはずだ。

日本国籍のない一流大生がリクルートスーツやネクタイを用意して多くの一流企業で就職活動をし、すべて失敗した場合でも、「日本社会による差別の犠牲者」とは限らない。「外国のスパイ工作(帰化妨害)の犠牲者」かもしれないからだ。軽々しく「日本社会に復讐してやる」「もうスーツもネクタイも着ないッ」などとヤケを起こしてはいけない。

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●Pの思い出●
数年前、筆者が小さな音楽スポットで生演奏を聴いていたとき、司会者(MC)が「最近外国の人と仕事をすることが多いのですが、きょうのミュージシャンはみんなちゃんと日本人」と言った途端、客の1人が席を立った。
筆者はMCに抗議し「『ちゃんと日本人』とはどういう意味だ。在日外国人が聞いたら、人によっては『オレってちゃんとした日本人じゃないのか』と思って傷付くかもしれないし、いま帰った人がそうだったかもしれないじゃないか」と怒った………筆者がこういうにんげんになったのは、前々回述べたように、戦後生まれ、高度成長期育ちであるため「米国(の白人)と戦争して(貧困の中で)負けた」という経験や記憶が、その残滓も含めて一切なく、したがって戦前生まれの日系日本人のように「白人に対する劣等感を処理するために韓国・朝鮮人を見下す」ことがないからだ(小誌06年1月13日「差別と批判〜日韓の『上下関係』を考える」)。

もちろん、Pの記憶も、筆者のこういう行動に大きく影響している。

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【新聞社、TV局の方に申し上げます。今回の記事は、「『龍の仮面』の小説家・佐々木敏によると…」などの出典説明を付けさえすれば、紙面上、番組中で自由に引用して頂いて結構です。が、雑誌、メールマガジン、blogを含むWebサイトへの、この記事の一部または全部の無断引用は法人、個人を問わずお断りします(但しリンクは自由です)。引用(転載)を希望する雑誌、メールマガジン、blogを含むWebサイトの関係者の方は、小誌の筆者・佐々木敏と取り引きのある出版社を通じて御連絡下さい。】

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次回は本件の続報かトリノ五輪関連の予定。】

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 (敬称略)

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