「タイトル」「国名」「人物名」「Webアドレス」

タブーを破るための4項目

〜オウムを操った国家への挑戦〜

Originally written: April 21, 2003(mail版)■タブーを破るための4項目〜オウムを操った国家への挑戦■
Second update: April 21, 2003(Web版)

■タブーを破るための4項目〜オウムを操った国家への挑戦■


■タブーを破るための4項目〜オウムを操った国家への挑戦■
【今回は小説『ラスコーリニコフの日』の関連記事です。】

マスコミがオウム真理教の背後関係を暴くことをタブーにしているため、国民の大半は、地下鉄サリン事件や国松警察庁長官狙撃事件などのテロをやらせた加害国の国名を知らない。このタブーが破れれば世論が一変し、政局が動く。そして、タブーを破る方法はある。


ジャーナリストの田中宇はメルマガで繰り返し「911」(01年の米中枢同時テロ)は米国の陰謀だ、と確たる証拠もないままに訴えている(「見えてきた911事件の深層」ほか)。彼の読者は約20万で、これは産経新聞の1/5に相当し、しかもその記事はWeb上でしばしば大手の検索サイトの「表玄関」からリンクを張ってもらっているので(産経新聞より早いペースで?)読者数が増加する可能性もある。
どうやら日本では、確たる証拠もなしに、米国をテロの黒幕と疑って指弾することはマスメディア、とくにインターネットにおける報道の倫理に反しないらしい。

それなら、まったく同じ理由で、一連のオウム事件を起こした某テロ国家についても、確たる証拠がなくても具体的な国名を挙げて非難することが許されるはずだ。確証がないという意味では、「911」に対する米国の関与も「地下鉄サリン」などに関する某国の関与も対等のはずだ。不十分な証拠で、米国の名誉はいくらでも毀損するが某国には遠慮する、というのでは、作為的な偏向報道と言うほかない。

●勧善懲悪カタルシス●
米国を非難するには勇気は要らない。02年12月に米軍が対イラク戦争のために中東に展開して以来、世界中で大勢の人々(とくに、99年に米軍を中心とするNATO軍が、国連決議なしにユーゴを空爆したときには容認していた人々)が急に平和主義者ヅラをして米国を批判する反戦運動を始めて以来、「米国批判」は、勇気も知性も独創性も要らず、日本や欧州の多数派の尻馬に乗りさえすれば、だれでも気軽に楽しめる「正義の味方ごっこ」に成り下がっていた。
『千と千尋の神隠し』で03年の米アカデミー賞を受賞した宮崎駿監督は、こう言っている:

「だれか悪い奴を決めて、そいつをやっつけたらうまく行くという映画は作るまい、と思ってる。エンターテイメントだからって、そういうカタルシスはよくない」(03年3月26日放送のNHK『クローズアップ現代』)

いま世界中の反米主義者がやっていることは、ブッシュ米大統領や「ネオコン」(彼らが言うところの「親イスラエル派」「タカ派」)を悪者にして、彼らを罵って自ら「正義の味方」になろう、という安易なカタルシスだ。

が、世の中はそんなに単純ではない。
マルクスやレーニンは、諸悪の根源は資本家であるかの如く責め、上記の田中は、欲深い軍需産業や石油資本が飽くなき利益の拡大を求めてネオコンを操って「陰謀」をめぐらすのだ、と批判する。

もしも現状が永遠に続くなら、つまり米国やその繁栄に貢献する同盟国の繁栄が永遠に続くなら「そっとしておけば」邪悪な資本家もネオコンも、何も高いコストをかけて余計な陰謀などめぐらさずとも、現状からそれなりに得られる利益を享受すべき、という結論になる。田中が批判するまでもなく、彼らも面倒な陰謀などしないだろう。

しかし現状は永遠に続かない。とくに人口問題の変化は深刻で、大半の現代人の常識を超える速さで進んでいる。単に地球の総人口が増えるだけでなく、各国間、各民族間の人口バランスが経済や安全保障を脅かすほどに変わるのだ。

「まもなくロシアは、人口ではパキスタン以下の小国になる」(米国防総省『アジア2025』)
「中国は(日本と違って)先進国になる前に高齢化が始まり、貧しいままで経済成長が止まる」(同)
「50年以内に人類の2人に1人がイスラム教徒になる」
「21世紀は中国の世紀でなくイスラムの世紀だ」

と聞いて、信じられる、いや、信じる心の準備のできている日本人が、ロシア人が、中国人がどれほどいるだろうか。 筆者が小誌で「在米イスラム人口の急増〜イラク戦争の深層」を書いたのも、そもそも小説デビュー作『ゲノムの方舟』を書いたのも、現代の人類が抱える問題は、けっして安っぽい勧善懲悪思想では解決できないことを訴えるためだった。

ブッシュ政権を支える米保守本流グループは、けっして単純に金儲けのために戦争などしない。彼らはもう十分儲けている。彼らがめざしているのは世界の安定だ……と言うと、イラクで大勢の人を殺して何が安定だ!と思われる方も多いだろう。

が、何も手を打たずに数十年経過した場合に世界が経験する不安定は、イラク戦争の比ではない。
「私たち人類1人1人がジョン・レノンの『イマジン』の歌詞のように平和を願えばそれは実現するはずだ」てなことを言うやつに限って、原発反対を唱えながら真夏には原発で造られた電気で冷房をガンガンかけていたりする。彼ら「平和主義者」の主張する「平和の法則」は、一度も正しいと証明されたことはないし実現されてもいない。言行不一致な連中の言う気楽な「平和主義」には、世界を安定させる力などない。

筆者にタカ派だの右翼だのとレッテルを貼って勧善懲悪のカタルシスを楽しむ方々が少なからずおいでだが、そういう方々はたぶん拙著を読んだことがないのだ。『ゲノム…』を書いているとき、筆者は、実は悲しかった。批判するなら、まず拙著を読んでからにして頂きたい。

おそらくジョン・レノンがいま生きていて『ゲノム…』を読んだら、考えを変え「もう浅はかな平和運動には加担しない」と言うだろう。
ほとんどの平和運動は無知に起因するからだ。そして、何より、人類の抱える深刻な諸問題は、ひとにぎりの邪悪な資本家やネオコンが起こしているのではなく、ほかならぬ「あなたがた」が、「平和的な」一般庶民1人1人が、日常的に(無邪気に)行っていることが原因なのだから。

そして「あなたがた」(おもに米国民)があまりに無邪気であるために、先進民主主義国家の支配層(米保守本流)は、ほんとうのことを国民や世界に打ち明けて民主的に対策を進めることができない。だから、彼らは、ウソの大義名分を用意し、世論操作で国民をだまして、陰謀によって解決せざるをえないのだ。

なんのことかわからない、という方は『ゲノムの方舟』の「タカ派」ガーランド国防長官のセリフをお読み頂きたい。

●タブーの成立●
米保守本流が悪戦苦闘して、敢えて戦争で手を汚してでも、世界人類全体を安定させようと苦心している一方で、世界はもちろん自国のことも考えず、ただ自分個人のために権力を追求し、世界を不安定にしている独裁者がいる。彼は自己保身のために核兵器やサリンなどの大量破壊兵器(WMD)を自国で保有し、あるいはテロ組織に渡して外国を脅迫するためにテロをさせる可能性がある……いや、すでにやっている。言うまでもなく、95年の地下鉄サリンなどのオウム事件だ。

オウムの背後に外国がいる、と示唆する報道は、03年3月20日の地下鉄サリン事件発生後からしばらくの間、マスコミに流れた。筆者は当時、評論家の立花隆が民放テレビで語った言葉を覚えている:

「(静岡県富士宮市の)オウム真理教総本部で発見された金の延べ棒は無刻印。93年に金丸信・元副総理の脱税事件の捜索で金丸邸から押収された金の延べ棒も無刻印。世界で刻印のない金の延べ棒を造る国は1つしかない」

しかも上記2か所の延べ棒は、成分などを鑑定した結果同じ高炉で造られたものと判明したという(毎日新聞95年3月23日付朝刊1面「現金7億円と金塊10キロ確認」や某Webサイトの「1995年」の関連年表を参照)。

ところが03年3月30日、国松警察庁長官狙撃事件が起きると、急にマスコミはその国名の特定に慎重になる。
朝日新聞は、狙撃現場に落ちていた某国の軍隊のバッジを記事にしたが、その国名を出すことは避けた(95年4月2日付朝刊35面、95年4月4日付朝刊31面)。

無理もない。相手は凶悪な独裁テロ国家で、しかも現に東京で大勢殺したのだ。記者が真実を書けば、次は朝日新聞社が攻撃される、とだれもが思う。

そして佐々淳行・元内閣安全保障室長が「とどめ」を刺す。元警察官僚の佐々は産経新聞紙上で「(サリン事件や狙撃事件が)国際謀略である可能性は少ない」と述べ(95年4月6日付夕刊1面「スーパーテロの恐怖」)さらにこの前後にTBSの人気番組『ブロードキャスター』に生出演して「日本を混乱させてトクする国などあるわけない!」と頑強に外国関与説を否定し、他のゲストコメンテーターに発言する隙を与えなった。

この、佐々の強引な言動を境に、日本のマスコミは、オウム事件や狙撃事件の「外国関与説」をまったく報じなくなった、と筆者は記憶している。狙撃事件以前に「国名」を聞いた記憶のある読者の皆さんもおそらく同じだろう。95年4月上旬、日本のマスコミには完全なタブーが成立したのだ。

テロを行った某国の立場で考えると、当時「関与説」をタブーにしなければならなかった理由はよくわかる。あれほど凶悪なテロをやったと報道されれば、国際的に決定的なイメージダウンを被り、外交上、経済上計り知れない打撃を受けるからだ。

●タブーの期限切れ?●
が、その後、某国のイメージは悪化の一途を辿っている。最近は自ら国家犯罪を行ったことを部分的にせよ認めたし、日本や米国のマスコミはその独裁国家の堕落、腐敗、貧困、軍拡や人権弾圧について連日報道しているため、いまや世界中から「ごみくず」のように思われている国だ。いまさら新たにどんな罪が暴かれても、これ以上イメージダウンする心配はない。

となると、95年に成立したタブーはいまも「有効」なのか、という疑問が湧く。はっきり言って、ほかにあまりにも多くの悪事を犯しているがゆえに、95年のテロへの関与を認めても(一時的にはマスコミの話題になるだろうが)ほかの悪事をきちんと是正しさえすれば、世界各国から経済協力などの利益は得られるのではないか。
つまり、95年以来のタブーは、いまや惰性で維持されているだけなのではないか、と若い新聞記者らは思うこともあろう。

しかし、95年から報道の現場にいるベテランは恐ろしくて、とても後輩に「書いてもいい」とは言えないだろう。なんといっても相手は(米国と違って)野蛮なテロ国家だ。まるで粗暴犯のように後先考えずに人を殺したりさらったりする国だ。もうタブーは終わりだろうと判断して記事を書いて、あとで自分の周囲でテロが起きたら、と心配するのは当然だ。

これは筆者も同様で、メディア界のインフラを通じて万単位の読者に小説やメルマガを提供する以上、自分自身や周辺への報復テロや言論弾圧による人的、経済的損害を考慮しないわけにはいかない。
だから、筆者は小説でもメルマガでも、タブーは破らず、国名は特定しないことにした。

が、すでに言論弾圧のような動きがある、という御指摘を、ファンの方から頂いた。03年4月に発売された筆者の小説第3弾『ラス…』の内容紹介ページは、4月17日頃までは、某大手検索サイトに小説タイトルを入力すると「ページ検索」でヒットしたが、それ以降はヒットしなくなっており、これは『ラス…』が売れることを望まない勢力からの圧力によるのではないか、というのだ。

まさか、そこまでやる人がインターネット業界にいるとは思えない。たぶん、現在ヒットするページが少ないのは、発売直後だからだろう。いずれは『ゲノムの方舟』や『龍の仮面』と同様に小説のタイトルを入れるだけで何百ものページがヒットするようになるはずだ。

確証もないのに国名を出して米国をテロ国家よばわりする田中の言論がフリーパスで、確証がないから遠慮して国名を出さない筆者のWebや小説が弾圧の対象になるのは、理屈が通らない。だから、そんなことはありえない。現在検索でヒットしにくくても、それは一時的なものだろう。

筆者も、インフラを提供している各企業に配慮して、95年のテロをやった国の国名は当面、出さないことにした。田中は、米国の提供する言論の自由とインターネットに甘えて、米国はテロ国家ではないから自分を攻撃しないだろう、という矛盾した安心感のもと、米国をテロ国家よばわりしているが、筆者はほんもののテロ国家を対象にしているので、そんな気楽な立場にはない。したがって、95年以来のタブーは当面尊重するつもりだ。

●タイトル、国名、人物、Webアドレス〜タブーを破るための4項目●
が、タブーを破る方法はある。
某テロ国家は「わが国が95年に日本でテロをやった、とはまだ、みんなは思ってない」という前提で「みんなそう思ったら困る」から、国松長官を狙撃して日本中を恫喝し、マスコミを沈黙させたのだ。
なら、「みんなが知ってる」状態になれば当然、タブーは終わる。

筆者は、自分の小説に使う文言について「某国への名誉毀損」にあたるものがないよう、一言一句、自分の意志でコントロールし、出版社の承認を得て出版した。

しかし筆者は、小説の読者の方々が、どのような感想を持ち、それをどう表現されるかはコントロールできない。たとえ筆者のWeb上の言論をサイバーテロで封じても、筆者を殺しても、何千人もの読者の方々が友人に話したりインターネットの掲示板に書いたりすることを止めることは、だれにもできない。

『ラス…』に登場する架空の国々や人物から「現実世界」の国を連想したり「この男はあの人に似てる」「こういう男の政治生命は断つべきだ」などと現実的な教訓を得るのは、読者の自由だ。また、読者が(匿名で)掲示板等を使って、小説のタイトルや、自分が連想する「国名」「人物名」を広めるのも、物理的に禁止する方法がない。

1個人がどこかの掲示板に匿名で記事を書いても、その影響力は大きくないかもしれないが、何千人もの人が同じ「タイトル」「国名」「人物名」「Webアドレス」( http://www.akashic-record.com/raskol/n.html )の4項目をあちこちの掲示板に書いている場合は、意味が違う。

もちろん、筆者の読者の方々が大勢同じ行動をとるという保証はない。何人の方が掲示板に感想を書かれるのか、どういう結果になるかは筆者にもわからない(から、逆に弾圧するほうも打つ手がない)。しかし、某国の、95年のテロへの関与は、02年のW杯サッカーでの、韓国戦の審判の不正判定と同様に「公然の秘密」だ。02年6月13日に配信した筆者の、タブーに挑戦した記事はかなりの説得力を持ったがゆえに、あのとき筆者のメルマガの読者数はほんの2週間ほどで5,000から13,000に急増したが、これはあちこちの掲示板で筆者のWebアドレスが紹介された結果だった。
(有り難うございました。m(_ _)m)
とすれば、読者の皆さんの力で、95年以来のタブーを終わらせることも可能かもしれない。

なんといっても、皆さんは「桶狭間の奇襲戦」で大成功を収めた「実績」がおありなのだから。

【但し『ラス…』は推理小説なので、筋を最後まで全部書かれると困ります。掲示板への記入は「4項目」などに絞って頂きたく存じます。】

●反米偏執狂の深層心理●
じっさい、日本でこのタブーを維持する工作の中心にいると思われる人物はかなり高齢なので、彼が死亡または高齢により社会の第一線から消えれば、タブーはタブーでなくなる。

そのことは、田中にもわかっているのではないか。
いずれ某国のイメージが決定的に悪化する日がやってくる。そのとき、日本の安全保障に関する世論は一変する可能性がある。その前に、日本の同盟国である米国のイメージを「テロ国家」として汚しておけば、「米国も似たようなもんだ」となり、世論の某国への怒りも緩和される……と期待して、田中はジャーナリストの良心を棄てて、敢えて米国への名誉毀損に踏み切ったのではないか。

この意味では、たしかに勇気がある。

【03年4月24日、地下鉄サリン事件の主犯に(口封じ目的の?)死刑求刑。『ラスコーリニコフの日』はタブーを破りたい人のツールです。これが10万部売れれば、結果的にある人物が失脚します。】

【この問題については次回以降も随時(しばしばメール版の「トップ下」のコラムでも)扱う予定です。
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 (敬称略)

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