英有力紙報道

やっぱりわざとだった?

〜NATOの中国大使館爆撃は故意〜

Originally Written: Nov. 28, 1999
Last Update: Nov. 28, 1999


●「謝罪天国」
●「天安門大虐殺」
●ウォール街の中国観〜「台湾人虐殺計画」進行中
●英有力紙報道

本紙は、数か月前の「わざとやったに決まってるじゃないか」の記事の中で、1999年春のNATO軍(主力は米軍)によるユーゴ空爆の際、「誤爆」によって在ベオグラードの中国大使館が攻撃された件について、事前に現場周辺に「炭素繊維チャフ弾」がばらまかれ、停電の「暗黒」が作り出されていた事実などを指摘して、筆者は、米軍が誤爆の振りして「わざとやった」と断定した。

筆者は、そのあと同窓会(の二次会)に出て、そこで、国際政治学者や研究者(大学院生、研究機関勤務者)や治安関係の国家機関に務める「現役」の専門家の意見を拝聴する機会を得た。

●「謝罪天国」
彼ら専門家の一致した見解は、あのあと「アメリカ政府が中国政府に公式に謝罪していることでもあり」やはり、文字どおり誤爆だろう、ということだった。ただ、私はその席で(先輩に遠慮して?)「炭素繊維チャフ弾」の話はしなかったし、当時はまだ以下に示す『ウォールストリートジャーナル』(WSJ)の、すさまじい中国批判記事を読んでいなかったこともあり、あえて反論はしなかった。しかし、以下の記事を読んだあと、その席に臨んでいたら、雰囲気はだいぶ変わっていたのではないか、と思う。

筆者は最近、米保守派の最有力紙、世界一影響力の強い経済専門紙である『ウォールストリートジャーナル』(WSJ: Wall Street Journal)をインターネットを通じて講読する「インタラクティブ版」の有力講読者となった(有料と言っても、年間59ドル=約6000円で、平日毎日「80ページ」で、広告は朝日新聞などよりはるかに少ない。他方、朝日新聞は広告だらけで毎朝30数ページ。そのうえ、無益な夕刊、週末、日曜版との抱き合わせ強制販売で、読売新聞、毎日新聞と同じ「毎月3925円」というのだから、呆れる。新聞休刊日が『Japan Times』『Daily Yomiuri』まで同じであることを考えると、日本の新聞各社は「独禁法違反」の疑いが濃厚である)。そして、「インタラクティブ版」の記事検索の機能を使って、中国批判の記事を探しだして読んでみたのである。

●「天安門大虐殺」
欧米では1989年6月4日の「天安門事件」のことを「事件」ではなく「天安門大虐殺」(Tiananmen Massacre)と呼ぶ(筆者は個人的には「天安門広場では実弾発砲はなく、死者は出ていない」という中国政府の主張には一理あると想っている)。これは、「共産党一党支配」を続けていっこうに民主化や人権状況の改善の兆しの見えない中国のことを欧米が「国際社会の『正会員』ではない」とみなしていることの表れである(他方、中国政府やその手先が「南京大虐殺」を繰り返し強調するのは、日本に謝罪してもらうことが目的ではなく、「反中国」一色に染まるのを緩和するためのものと思われる。この件は後日取り上げる。日中両国政府はお互いの「大虐殺」を非難し合うというばかばかしい行為はすぐにやめ、お互いに過去の大虐殺?--と欧米で言われている行為を非難しないという「取り引き」をすべきであろう。すくなくとも、「南京大虐殺」を声高に叫ぶ日本の進歩的文化人の行為は、長い目で見れば必ず中国に不利益をもたらす、と筆者は断言する)。そこで、筆者は、この秋「Tiananmen Massacre」というキーワードをWSJの記事検索に入力し、この語を含む記事を探してみた(ただし、検索範囲は過去1 か月以内が最大)。

●ウォール街の中国観〜「台湾人虐殺計画」進行中
すると、「北京(中国の共産政権)の危険な新ドクトリン」なる記事がマッチして表示された。ほかにもいくつか出てきた(中国に関する政治・経済・社会の記事のほとんどすべてに、この数年間、WSJは「天安門大虐殺」という語を使っている)が、筆者は、この1本に強くひかれた。

内容は---日本では絶対にお目にかかれない過激なものだった。中国は昔(トウ小平時代)は台湾を武力併合することはない、という政府方針の証しとして「中国人は中国人を殺さない」というフレーズを繰り返し述べてきた。が、最近の中国政府の指導者たちは「台湾の独立を志向する者や、外国勢力と結んで国家・民族の分断をはかる者は中国人のうちにははいらない(から殺してもよい)」と微妙に、いや、劇的にその方針を変化させた---というものだった。

WSJは「中国人のうちにはいらない」非国民を中国政府がなぶり殺しにする具体的な方法としては、台湾国内の外国(米国)関連施設へのピンポイント爆撃(とくに日米が導入を検討中で台湾も参加を希望しているTMD、戦域ミサイル防衛構想関連米系企業のオフィスへの破壊工作)は十分ありうるし、また表面的か内面的かはともかく、心の中で独立を志向する台湾「国民」の大半を殺すような、核ミサイル攻撃を含む大規模空爆も、北京政府の方針と人道に反しない措置として、十分に実行可能と考えられる、と述べている(この味方が正しいかどうかが問題なのではなく、米保守政財界のほとんどが読む新聞にこう書いてあることが問題なのだ)。

中国の共産政権が「○○は中国人のうちにはいらない」式のきたないレトリックを使いはじめたのは今年1999年からではないようなので、筆者はやはり、例の「誤爆」は中国への警告として(つまり、中国が台湾島内のアメリカ関連施設を攻撃するつもりなら、米軍は北京の政治家の住居だってピンポイント攻撃できるんだぞ、と威嚇するために)米軍が故意にやってみせたピンポイント攻撃作戦だったのではないか、という気がする。

●英有力紙報道


筆者の説を傍証するかのように、イギリスの日曜紙『オブザーバー』(1999年10月17日付)も、NATO(北大西洋条約機構)による在ベオグラード(ユーゴ)中国大使館への爆撃事件は誤爆ではなく「同大使館がユーゴ政府のために無線中継を行っていたため(つまりコソボ問題を口実に爆撃を続けるNATO軍の作戦を妨害するために)、その破壊を試みるための意図的な作戦だった」と報じた(朝日新聞1999年10月18日付朝刊 6面でも紹介)。

『オブザーバー』紙は、欧米の複数の軍幹部の証言を得たと主張し、作戦は通常のNATOの指揮命令系統ではなく(台湾問題に関係のない欧州を排除して米国の国益の追求として「米国vs.中国」の形で行いたかったので?)米軍単独の指揮命令系統で行われた、ということである。

やっぱり、わざと、だったのだよ、きっと。

(敬称略)

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