朝青龍引退@テレビ朝日


〜国籍問題が一因

(April 01, 2004)

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■国籍問題が一因〜朝青龍引退@テレビ朝日■
横綱・朝青龍がテレビ朝日の4月新番組『報道ステーション』に生出演し「直接ファンの皆様に御礼」を言う。大相撲からの引退、総合格闘技「K1」への転向を表明するものと見られる。

出演時間等の問い合わせは、Tel: 03-6406-2222 mailto:webmaster@tv-asahi.co.jp (テレビ朝日)

または、Tel: 03-5608-3223 mailto:takasago@kub.biglobe.ne.jp(高砂部屋)まで。

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■国籍問題が一因〜朝青龍引退@テレビ朝日■

横綱・朝青龍が、テレビ朝日の新番組『報道ステーション』に生出演し、「いままで応援してくれたファンの皆様に直接お礼と自分の考え」を言う。朝青龍本人が、自分の所属する高砂部屋や日本相撲協会を通さず、テレビ朝日に直接申し入れ、出演が決まった。

04年3月の大相撲春場所で優勝し、2場所連続全勝優勝の偉業を達成したいま、朝青龍は「もはや大相撲でやりたいことはやり尽くしたから、新たな世界で自分を試したい」と、大相撲を引退し、総合格闘技「K1」への転向を表明するものと見られる。

一見すると、球界で言えば、パ・リーグで7年連続首位打者になったあと米大リーグ入りしたイチロー選手のような「華麗な転身」「新天地への挑戦」かと思えるが、朝青龍の場合は、あとで述べるような複雑な事情がある。今回のテレビ生出演を自ら求めた理由も、そうした事情をファンに直接話して「理解してもらいたいから」にほかなるまい。

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久米宏キャスターの『ニュースステーション』の後継番組として、古館伊知郎キャスターを迎えて04年4月から始まる『報道ステーション』は、この生出演を視聴率の取れる目玉企画として決定し、朝青龍の希望する条件も全面的に受け入れることにした模様だ。

元々古館の専門分野はスポーツ。政治経済のニュースもたくさん取り上げなければならない夜のニュースショーは今回が初めてで、本人も周囲も一抹の不安を抱えていた。それだけに、スポーツ関連の目玉企画から番組を始められれば無難なスタートを切ることができるので、古館にとっても「渡りに船」だったようだ。

朝青龍は、古館が元々テレビ朝日のプロレス中継のアナウンサーであったことを知って「格闘技に理解のある古館さんなら、自分の気持ちをわかってくれると思う」と、インタビュアーに古館を熱望したという。

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その一方で、朝青龍は「日本語の言葉遣いを間違えて誤解や失礼があってはいけない」と、モンゴル人通訳の同席も希望した。

当初、朝青龍は、駐日モンゴル大使館に通訳の手配を相談していた。が、朝青龍の意向を察した大使館側から「横綱の引退は、せっかく盛り上がった日本とモンゴルの友好関係に水を差す」と反対されて断念。結局、通訳の手配はテレビ朝日に依頼した。

テレビ朝日では、かつて『ニュースステーション』でリポーターを務めたこともある女性起業家・佐々木かをり社長の経営する通訳翻訳会社ユニカル・インターナショナルに通訳の手配を依頼。しかし、ユニカルでもモンゴル語の適当な通訳はみつからず、佐々木社長から彼女の従姉弟である筆者に相談があったため、筆者はこの問題にかかわることなった。

関係者から「直前の、正式決定まで秘密厳守」と言われていたため、筆者は極秘で動き、アジア外交に詳しい、中嶋嶺雄・元東京外語大学学長に相談した。

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朝青龍がモンゴル国籍のまま、外国(日本)で活躍し続けることは、モンゴル国民のナショナルアイデンティティを高めるだけでなく、「国防上」の効果もある。

世界の世論は中国周辺のチベット、モンゴル、ウイグル(新疆)、満州、台湾、沖縄、朝鮮半島、ウラジオストック、ネパールなどが本来中国の一部なのかどうか、歴史的な事情についてはよく知らない。その「無知」につけこんで中国は、20世紀にはチベットや新疆を相次いで武力で併合し、領有を既成事実化して来たし、台湾や沖縄、ネパールなどについても、まだ領有を諦めたわけではない。

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すでにモンゴル民族の居住地域の一部は「内蒙古自治区」という形で中国の領土になっているため、モンゴル政府は中国の侵略を警戒している(かつて蒋介石の中華民国政府は、現在のモンゴル国の領土を「外蒙古」と呼び、中国の一部とみなしていた)。とくに、かつてモンゴルの(中国に対抗するための)後ろ盾になってくれていたソ連(ロシア)が91年に崩壊して弱体化したあとは、軍事的には、モンゴルはいつ中国に侵略されてもおかしくない状態にある。

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だから、モンゴル国籍のまま世界で活躍する人材は、世界にモンゴルが独立国であることを示し、モンゴルが中国に侵略されるのを防ぐために、国際世論対策上大きな意味がある。

朝青龍は(国防上の理由で)「日本に帰化しないでくれ」という祖国からの期待と、「日本国籍がなければ親方にはなれない」という、日本相撲協会の「国籍条項」の狭間で板ばさみになり、結局「モンゴル国籍を持ったままでも活躍できる、ほかの格闘技への転向」を選ぶほかなかったのだろう。

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もちろん朝青龍はまだ若い。23歳である。引退して親方になるかどうか考えるのは、まだ先のことだ。

しかし、ふたことめには「国籍条項」をタテに「日本人の心を学べ」「品格が問題」などと迫る、日本相撲協会幹部や横綱審議委員の言動には、ぬぐいがたい外国人への差別感情が潜んでおり、朝青龍はそれを感じ取っていたに違いない。

「祖国モンゴルの英雄」としては、これ以上自分の気持ちにウソはつけなかったのだろう。筆者は「こういう朝青龍の気持ちを理解できる通訳が必要」と中嶋元学長に嘆願し、元学長の弟子筋にあたるモンゴル出身のドルゴルスレン・セレジブデ東京外語大講師を通訳として紹介され、ユニカルとテレビ朝日の関係者に引き合わせた。

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以下は、通訳依頼交渉の過程で、筆者とユニカル、テレビ朝日の関係者が聞いた各界識者の声である。すでに一部はマスコミ各社のWebサイトなどで公開されているが、ここに整理して列挙するので、朝青龍の名誉と、日本・モンゴルの友好関係のため、ご一読願いたい。

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●大関・千代大海:
「突然のことで驚いている。春場所あんなに強かったので、ずっと相撲界でやって行くと思っていたから、信じられない。横綱(朝青龍を越えること)は大きな目標だっだだけに、引退がほんとなら、残念です」

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●北の湖・日本相撲協会理事長:
「まず師匠(高砂親方)に話すのがスジではないか。それをせずにいきなりテレビ局と交渉するなど、非常識だ。親方(元大関朝汐)も親方だ。指導に問題があると言わざるをえない」

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●プロレスラー・ブルーウルフ(朝青龍の実兄):
「引退後は、オレといっしょにリングに上がると思う。弟は、大相撲にも(日本とモンゴルの)友好にも十分貢献した。もう自由にしてやってほしい」

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●K1格闘家・曙太郎(元横綱曙):
「正月に電話で話した。(03年の)大晦日のボブ・サップと(曙)の試合を見て感動したと言っていた。いま、あの若さで横綱が引退するのがいいことかどうかはコメントしたくない。でも、これだけはわかってほしい。朝青龍は相撲を愛している」

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●KONISHIKI(元大関小錦):
「自分は日本人と結婚して日本国籍も取った。でも、割(本場所の取り組み日程)を見ると、相撲協会が(自分のような外国出身力士には苦手力士との取り組みを連日続けるなどして)ガイジンより(日本生まれの)日本人を勝たせたがっているのが、はっきりわかるときがある。そういうときは、とても辛い。いま相撲協会は、朝青龍よりも、千代大海や魁皇、栃東を勝たせようとしている。朝青龍は相撲が嫌いにならないうちにやめたかったのではないか」

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●ナンバリン・エンフバヤル(モンゴル首相):
「引退は残念だ。ただ、日本国民の皆さんには彼も含めて多くのモンゴル人が日本を愛していることを忘れないでほしい。横綱だって、日本が好きだったから日本に留学し、相撲界にはいったのだから」

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●中嶋嶺雄・元東京外語大学学長(中国政治研究者):
「亡命者ならいざ知らず、ある国の国民的英雄に向かって(指導者になりたければ)『国籍を変えろ』などと『国辱的な』要求をするスポーツは世界中のどこにもない。大相撲も米大リーグなどを見習って、伝統を守りつつも世界に進出し世界と交流する方法を考えないといけない。モンゴル国に住むモンゴル人は200万人だが、中国の支配する内蒙古(自治区)に住むモンゴル人は350万人。彼の祖国で200万人がどんな気持ちで彼をみつめているか、相撲協会も考えてほしかった」

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●漫画家・やくみつる:
「日本のサラリーマンは早くても夕方5時までは働いている。だから、彼らに見てもらうためにプロ野球の試合は6時以降に始まる。『K1』だって夜のゴールデンアワー。ところが大相撲は6時にはすべて終わってしまう。まるで『サラリーマンは見るな』と言っているようなもので、興行、プロスポーツとしては異常。だから、力士の(年間)所得は他のどのプロスポーツよりも低くて、幕内上位でもせいぜい数千万円。一方、曙は(03年大晦日の)『K1』1試合だけで2億円も稼ぐ。これではいくら引き止めてムリ。相撲協会は、経営、興行、テレビ中継のあり方を根本的に考え直す時期に来ている。そうでないと、日本はもちろん、世界の若者も相撲に憧れなくなる」

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●ソフトバンク・孫正義社長:
「相撲はビジュアルでわかりやすく、短時間で勝負がつくの、携帯電話の動画コンテンツに最適だ。弊社も第三世代携帯電話事業の免許を取得したら、相撲などのスポーツ・コンテンツビジネスを展開したいと考えていた。それだけに大スターの引退は残念。大相撲もネット上のコンテンツビジネスに参入すればもっとファンが増えるし、力士の収入も増えると思う」

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●脚本家・内館牧子(横綱審議委員):
「横審(横綱審議委員会)は彼の品格について厳しく言って来たが、それはけっして外国人差別ではない。先代高砂親方の葬儀や(04年1月の)初稽古、さらに(自分が土俵入りで締める綱を兄弟弟子に作ってもらう)『綱打ち』の儀式まで無断欠席するなど、相撲界のしきたり以前に一般社会のルールにも反する行動を、彼は何度もとった。(親方になるための)国籍問題については検討の余地があるが、それとこれとは関係ない」

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●渡辺恒雄・読売新聞グループ本社社長(横綱審議委員):
「やめたいやつは、さっさとやめろ! せーせーしたよ、いなくなって」

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【上記のうち、千代大海のコメントは日刊スポーツ新聞社の、エンフバヤル首相のコメントは朝日新聞社の、それぞれ許可を得て、各社サイトより引用しました。】

【この記事の内容は、04年4月1日以外の日に読むと無効です。】

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 (敬称略)

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【この問題については次回以降も随時扱う予定です。
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